ひぐらしのなく頃に

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                                 (2003.11.19)
▼あらすじ
 父親のワガママで都会から田舎へ引っ越してきた少年、圭一。
 数ヶ月が過ぎ、悪友とともに学校で楽しい日々を送っていた。やがて6月を迎え、村に「綿ながし」の季節が訪れる。辺境の村での最大のお祭り。だが近年、その祭りにはひとつのいわれが付いて回っていた。
「綿ながしの日には、オシラサマの呪いで必ずひとり死に、ひとりが消える」
祭りを終え、何事もなく次の日を迎える雛見村。しかし、人知れずその呪いは動き始めていた……。
▼概要・システム
 シナリオは2本入っていて、昨年夏コミに発表された「鬼隠し編」、そして昨年冬コミで発表された「綿流し編」の二本セット。

 先に言っておかなくてはならないのは、「これはノベルである」ということ。選択肢もなく、エンディングもそれぞれ1つづつしかない。だが、ただのノベルと違い、工夫が見られる。それは日にちの終わりに出現する「TIPS」。ここにはその日の話題に上がったような物事を説明するようなキャラ間のやり取りが納められている。知りたければ読めばいいし、知らなくてもいいならスルーしてしまえばよい。もちろん、読んだ方がストーリーを楽しむ度合いが増す。
▼シナリオ・テキスト
 テキストはそれほど問題のないレベルだと思う。誤字もなかったような気がするし、読んでいてストレスを感じることもなかった。 ストーリーの流れは前半が舞台やキャラクターの紹介などで、中盤にある「綿流し」を境に一気に物語が収束していく。前半部分はちょっとダレ気味。ここで飽きる人もいそうだが、終盤の(怖い、という意味で)ゾクッっとするシーンなどはなかなか見事。この辺に来るとかなり面白く、「徹夜率32%」もむべなるかな。「鬼隠し編」「綿流し編」のふたつのシナリオは、同じモノであり別のモノでもあるという微妙なパラレル関係。時間軸は同じだが、物語の流れと終わりが違う。どちらのシナリオの犯人?(人ではないかもしれないので)は同じらしく、気合い入れて読んで推理すればわかるらしいが、かなり難しいようだ(っていうか難しい)。このように読後、完璧な回答の用意されていないことに納得がいかないのなら、遊ばない方がいいかもしれない。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクターは中学〜小学生あたりが想定されているためか、ちょっとロリ気味。女の子もおっさんも分け隔てなく丸みを帯びている。絵柄はリアルな感じよりも、かなりディフォルメが効かせている。このあたりは人によって拒否反応がでるかもしれない。個人的には別にオッケーだった。立ち絵は各キャラ数枚で、話のメインに絡む人以外の立ち絵はなし。イベントグラフィックもなし。これはちょっと寂しいかも。背景は実写にエフェクト。なかなか面白い配色にしているところもあった。
▼サウンド・SE
 正直、それほど強い印象は残っていない。だが1,2曲ほど突然音のレートが下がったようなものがあったため、そこだけいやにチープに感じられる。他の曲と感じを合わせるように調整しなおした方がいいと思う。
▼総評
 ストーリーはなかなか楽しかったし、なによりちゃんと怖いと思えたのでホラー・サスペンス系の物語としては成功していると思う。TIPSシステムも、メインのストーリーを冗長にさせないために程良く効いている(それでも序盤はちょっと冗長かとは思う)。
 だが、上でも書いたがあくまでも「ノベル」。ゲームだと思って買うと落胆するかもしれない。では、これをどう楽しむのかというと、推理小説のごとく「物語やTIPSを読み進め、誰が、そして何が犯人かを推理する」ということだろう。バックパッケージに「正解率1%」と書いてあるだけあって、非常に犯人? を特定するのは難しいがなかなかに楽しい作業ではある。個人的には一度通して読み直し、探してみるつもり。
 推理小説などテキストを読みながら色々考えるのが苦痛でない人なら買いだろう。とはいえ、作品上で(ユーザーに解かせるという意味で意図的だとは思うが)謎が解かれていないのは、人によってはマイナスかもしれない。HPなどでそれが明らかにされているわけでもないし。
 それらを差し引いても安いし(確か100円)ボリュームもあるので、オススメの一本ではある。夏コミに完成する予定の3章目にも期待したい。
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