魔女狩り

■MUON
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                                 (2004.01.22)
▼あらすじ
夜の学園は、昼間の学園と違う世界だ。
課題を忘れてしまい、夜になって取りに来た少女はそう思った。見慣れているからこそ、暗闇に包まれた廊下や教室に何かを感じてしまう。心の中に湧き起こる恐怖を無理矢理飲み込み、足早に教室へ向かう。だが、そこには先客が居た。闇に顔を隠した数人の女の子たち。少女を見て、彼女たちはつぶやく。
「見られた」
「見られた」
「見られた」
「見られた」
「仲間にしないと」
「約束が」
異様な雰囲気を感じ取った少女は、すぐさまきびすを返して飛び出した。捕まっちゃいけない。少女の本能はそう叫ぶ。叫びに応じて少女は走る。しかし、その先で待っていたのは――――――。

そんな夢を見た。
夢で見た少女はクラスで見たことがある。そう、あそこの空席の少女のはずだ。だが、人付き合いが嫌いな俺は、その名を覚えていない。それよりも気になるのは、誰も少女が来ていないことに何の疑問を抱いていないことだ。他人のことを気にするなど俺らしくもないが、どこか奇妙なズレを感じていた。
「私のこと、覚えてる?」
見覚えのない女生徒が、いつのまにやら俺の席の前に立っていた。
「約束も忘れてるの? 忘れた方がいいけど、思い出しても秘密は喋っちゃだめだよ」
『約束』『秘密』という言葉が、俺の心の中の何かを思い起こさせる。しかし、俺は何も思い出すことができないでいた。
▼概要・システム
 パッケージ等には書かれていませんが、未完成版らしいです。中身の方は基本的に一本道です。一応、最後までは遊べます。システムはコミックメーカーを使用。フルスクリーン不可、メッセージスピード変更不可と、あまりプレイアビリティは考慮されてないようです。詳しくは最後に。タイトルのロゴは「女神転生」を彷彿させます。
▼シナリオ・テキスト
 お話は学園七不思議ような感じで、学園内に噂される「約束」に囚われた生徒を巡って主人公が行動を起こすというもの。いくつかの選択肢はあるものの、エンディングはひとつです。で、中身の方ですが、あまり面白くないです。精神的引きこもりのような主人公に、何の魅力も感じられないというのが最大のポイントでしょうか。主人公の周囲の違和感と謎を持って迫りくる「約束」といったパーツはあるのですが、その謎を解く必要性や逼迫感が希薄だったり、謎を解き明かす際のドキドキ感やら「なるほど!」といった驚きがないので、非常に淡々と話が進んでいる感じです。まぁ、山も谷もないってところでしょうか。いや、低い山はあるけど谷(オチ)がつまらない、かな?
 テキストの方も、読んでいて面白くありません。主人公を立てつつ作者が想像していること、知っていることなどが混ざってくるので奇妙な感じです。例を挙げるなら、なんで電話の向こうの相手が頷いているのが分かるんだ(もちろん、そういった描写はなし)、とか。それと、読みにくさがつまらなさにつながっているという点は否定できません。テキスト表示のスピードが変えられないというのも一因だと思います。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクターなどのグラフィックはナシ。背景は3Dモデリングと写真の組み合わせです。建物や室内はモデリングで作製されたもので、建物の背後や窓から見える空は、おそらく実写をそのまま使っているようです。モデリングで作られた建物はかなり良くできており、空の写真との組み合わせもなかなかのものです。
▼サウンド・SE
 音楽は使われていますが、それほどレベルは高くないです。かなり物足りない感じです。電話の音などSEはいくつかの場所で使用されています。
▼総評
 まず最初に、このソフトは未完成とのことですが、一応最後まで遊べること、そして今後完成しそうにないと(勝手に)判断しましたので、完成版として扱っています。
  よっぽどの物好きじゃなければ、無理して遊ばなくてもいいかな、ってところですかね。ぶっちゃけていうなら、つまらない。「魔女狩り」という言葉に何かしらを期待して無駄です。たぶん、想像しているものとは全然違いますから。 ファイルを調べていて分かったのですが、一番新しいタイムスタンプでも
「2002/12/24」なんですよ。基本的に作られたのは2002年の夏コミ(コミックマーケット62初頒布?)っぽいです。現在、コミックメーカー2が配布されているようですが、(おそらく)前のバージョンであるコミックメーカーで作られているのもこの辺りがその答えでしょう。昔に作られたものだからダメとは言いませんが、面白くないのは確かです。
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