TWADの物語 Vol.2

■因果堂Type-I.G
■NScripter
■連作オムニバス・ノベルゲーム
■全年齢
■1000円
http://www.inga-do.com/

                                 (2009.08.11)
▼あらすじ
幼い頃に交わした約束。
交わした少女が逝き、そして僕も生涯を終えてしまったことで、約束を守ることはできなかった。
この世では。
……この世を去ってから約100年、僕はTWADで少女と再会し、ようやく約束を果たすことになる。
▼概要・システム
 永遠に続く死後の世界「TWAD」を舞台に、少女と青年の恋愛を描いたノベルゲーム。選択肢は一切ない一本道の短編。
 システムはNScripter。基本的なシステムや仕様は前作『TWADの物語 Vol.1』を参照。変わったところは見られないので、実質同じだと考えていい。本作『TWADの物語 Vol.2』には前作に当たる『TWADの物語 Vol.1』も収録されている。プレイ時間は約1時間ほど。
 バグに当たるかどうか少々怪しいが、オープニング(プロローグ後に流れるもの)ムービーが表示バグと遅延、エンディングムービーが流れないという現象が起こった(サークルロゴのムービーは問題なく動く)。ムービー単体で再生させると問題ないので、NScripterで再生させる際に何か問題が起こっているらしい。サイトで特に言及されていないようなのでウチ固有の環境問題なのかもしれない。一応、ご注意。あと、右クリック→システム画面→右クリック→ゲーム画面→右クリック→何も起こらない、というバグも健在。
▼シナリオ・テキスト
 『Vol.2』とあるが、同じ世界を舞台にしているだけでまったく別のストーリーとなっているため、『Vol.1』を遊んでいなくてもあまり問題はない。ただ、『Vol.1』ほど丹念にTWADの世界を説明してくれるわけではないので、『Vol.1』を遊んでいないのならば先にプレイしておいた方がいいと思う。
 ストーリーは、幼くして死んだスミと彼女との約束を守ったまま大往生したセイが、TWADで「結婚する」という約束を果たした後の生活を描いている。TWADの世界であるためタイムスケールは無茶苦茶だが、基本的には幼すぎる少女と贖罪に燃える青年のラブストーリー。『Vol.1』のようにウジウジイライラするような展開はあまりなく(多少はある)、また主人公の性格も『Vol.1』ほど卑屈ではないため、『Vol.1』に比べれば一般向けともいえる。同時にアクも抜けているので、物足りないと感じる人もいるかもしれない。物語としては、比較的淡々と進むため、大きく盛り上がるところもないです。
 テキストの方は、『Vol.1』と同様、あまりクセはない。『Vol.1』ほど主人公の性格にイラっとこなかったため、全体的に読み進めやすいような気がします。
▼イラスト・グラフィック
 キャライラストはヒロインである少女(幼女の方が正しいかも)のスミと、仕事の相方である大人の女性ダクの立ちグラフィックが数点ずつ。スミは幼女だけあって、すごく小さい。縦の画面比率で、約半分ぐらいの大きさ。ウィンドウモードだと、ホントちっさ! という感じになる。
 イベントCGは全10枚で、CGモードで見ることができる。立ちグラフィックもイベントCGも比較的クオリティは高い。ただ、シナリオのネタバレになるので多くは書きませんが、スミは立ちグラフィックもイベントCGも度々レイプ目になるので、苦手な人はご注意。なお、立ちグラフィックとイベントCGは、すべて新規です。
 背景は『Vol.1』の流用および新規のものが数点。新規背景は、そのほとんどが3Dでアウトラインを引いて、内部をベタに近い感じで塗る、またはテクスチャが貼られている。そのためか結構安っぽい感じがする。キャラの塗りとの差がちょっと大きいので、キャラが浮いているような感じがします。今回は基本的に街の中での話しなので、『Vol.1』であった荒野や荒廃した世界を表した背景は出てきません。
▼サウンド・SE
 サウンドは『Vol.1』の7曲に新曲5曲が追加された全12曲。シリーズものという利点を活かした曲の多のおかげで、プレイ時間からみると結構贅沢な使い方をしている。その一方で、実質的に永く聞いている曲が前作からの曲なので、新曲の方の印象が薄いような気がしている(一番印象に残っているのが、タイトルの曲だったりするし)。
 SEはタイトル画面の項目クリック時以外使われていないと思う。
▼総評
 『Vol.1』のイメージで遊ぶと、ちょっと肩すかしな感じを受けるかもしれない。
逆にTWADの設定を除けば、広く一般的な恋愛ストーリーであるともいえる。少なくとも『Vol.1』に比べればお勧めできる人の間口が広がっているが、このサークル特有ともいえるアクの強さは味わえないかもしれない。また、物語に起伏がほとんどないので(主人公の内部的にはあると思うが、それほど伝わってこない)、ちょっと平坦で退屈ではある。そのためか、『Vol.2』単体では少々ボリューム不足(ちょっと遊び足りない、程度)な感がある。この辺りは、『Vol.1』も同梱されているから問題ないと見るか、単体で見て評価するかユーザー次第ではないかと思う。
 SFというかファンタジーというか多少変わった世界観が許容でき、その縛られた世界の中で語られる恋愛物語を読んでみたいという人で、病んでる系のヒロインでもOK! というのなら試してみても損はしないと思う。あ、でも病み具合はそれほどではないし、グロとかはないのでご安心下さいませ。逆に、それを期待されすぎると肩すかしどころじゃない気分になるかも。
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