▼総評
トータルで約1時間ほどのボリュームかな。
『パイロット版』とは変わった新しい『二十四季』紹介版、および「ファンディスク」と
いう位置づけになります。出来の方もなかなかいいと思います。特にグラフィックを
始めとするビジュアルイメージ全般のパワーアップは目を見張ります。ただ、『パイ
ロット版』を遊んだ人は、「眠る蒼黒の教室」でのキャラクターたちにちょっと違和感
を感じるかもしれません。個人的には『パイロット版』の方が「らしかった」と思えて
しまっています。『パイロット版』遊んだ直後だから、そう感じたのかもしれません。
この『穀雨』は、来月頭ぐらいにHPで公開されるそうです。初めて『二十四季』触
れる方は、「眠る蒼黒の教室」「桜の花の散る頃に」の順でプレイすることを勧めま
すが、可能ならば『パイロット版』を探して先にプレイすることを推奨しておきます。
でないと、七宮さんの葛藤がまったく(でもないけど)わかりませんから。『パイロッ
ト版』は、ファイル名でググれば見つかりますので、個々で探してみてください。さ
すがにアドレス出す度胸はないです。迷惑だし。
立ち上げ時にノートン先生とケンカするのは何なんでしょうかね。
あと、HPの掲示板で懐かしい人の名前を見て、ちょっと不思議な感じ(笑)
▼テキスト・グラフィック・サウンド
テキストは『パイロット版』同様、問題なく読み進めていけます。テキストレイアウ
トも基本的に同じで、画面上部半分ぐらいまでしかテキストは載りません。「桜の
花の散る頃に」は七宮さん視点で語られているため、少々印象が違う&感情的な
部分が見られます。描写というよりは、語り口調といえばわかりやすいでしょうか。
背景は実写にエフェクト。『パイロット版』に比べれば、若干効きが弱くなっている
ような気がします。また、画面効果がかなりパワーアップしています。桜吹雪に夏
の陽炎、たちこめる霧、地味ながら暑い日差しを受けてオレンジっぽくなったキャラ
クターたちと、どれもいい感じです。ただ、霧はちょっとマシンパワー食う感じがする
ようなしないような。
サウンドはなし。SEは『パイロット版』とほぼ同様の使い方をしています。
「眠る蒼黒の教室」は、今回が初出となる書き下ろしのシナリオ。後日、HPで配
布予定となっています。夜の学校で肝試しをしよう、とのことから始まる夏の日の
物語。シナリオは3つに分岐しています。バッドエンドとかはないので、好みの娘
で選んでよいでしょう。最初からやりなおしても、そう時間はかかりませんから。キ
ャラクターの性格などが少し変わっている気がします(特に遠坂さん)が、これはプ
ロットの変更か実はこういうキャラだった、ということからかもしれません。
グラフィックは大幅に変更されています。野郎は大して変化がないのですが、女
の子たちはかなり変わっています。絵柄の変化ということなのでしょうか。昔に比
べて顔の丸みが減り、ちょっとだけ縦に長くなっています。『パイロット版』はまん
丸な印象でものすごく小学生(ロリ)っぽかったんですが、ずいぶん普通になった
感じです。世間的な印象でいえばこちらの方が良いような気がしますが、『パイロ
ット版』を遊んだ直後なのでものすごい違和感があります。なにしろ、七宮さんの
ツインテールが重力に負けているのですから(笑) また、多少ではありますが、
キャラクターの表情が顔の中だけ頻繁に変わる、いわゆる福笑いを見ているような
(別の書き方をするなら機械的な)印象があります。ディフォルメされた表情など、
そういった印象をよく受けます。このシナリオでは絵柄の変更だけでなく、HPで紹
介されている残りのメインキャラクターとサブキャラクターがほぼ全員登場します。
『パイロット版』ではまったく登場していなかったので、彼らの紹介という一面を持っ
たシナリオなのでしょう。
▼シナリオ・グラフィック
シナリオは2本ありますので、それぞれ個別に紹介です。
「桜の花の散る頃に」は、『パイロット版』で攻略可能だった七宮さんのその後が
描かれたノベル。2003年の夏コミで配布されたコピー本に収録していたものをゲ
ームに興した作品です。新天地でまたも流されそうになる彼女が、気合いを入れ
て本来の自分自身になろうとするお話。おそらく、これだけ単体で遊んでも「ふー
ん」で終わってしまいそうですが、『パイロット版』クリア後だと、なかなかに感慨深
いです。『パイロット版』ラストに登場する彼女の原点はここか、と。
七宮さん視点なので彼女の立ちグラフィックはありませんが、イベントグラフィック
が2点あります。どちらも上下スクロールするので、じっくり見られません。この点
はかなり残念。その他の登場キャラクターで立ちグラフィックがあるのは、初めて
の友達とルームメイトのふたり。あとはシルエットのみ。
▼概要・システム
レビューの後編です。
なぜ前後編に分けたかといえば、『パイロット版』と『穀雨』のタイムスタンプがあ
まりに違うからです。それ以外にも原因はありますが、その辺りは下記から読みと
っていただければ幸いです。『二十四季 パイロット版』についてはこちらをご参照
下さい。
『穀雨』には、「眠る蒼黒の教室」と「桜の花の散るころに」の2本のシナリオが収
録されています。どっちもエロなしです。
システムは吉里吉里2を使用。基本的なシステム等は『二十四季』から流用し
ているようですが、セーブ/ロードができません。どちらのシナリオも短いのでカット
したのでしょう。「桜の花の散る頃に」は、一本道のノベル。「眠る蒼黒の教室」は
『二十四季』と同様のシナリオシステムで、選べるエピソードは3つの中から選択
となります。
ゲームシステムで大きく変化したのは、立ちグラフィックの位置が遠中近に至近
の4種類になったこと。「遠」は教室など足下が見えない(足下がなくても違和感
のない)背景の時に使われていて、相対的に「中」よりちょっと小さい。「中」は、
『パイロット版』での標準の立ち位置。「近」の場合には、キャラクターのバストアッ
プとなる(キャラクターの身長によって若干の違いはあります)。「至近」もう、顔だ
けドアップ。これらの演出は、おそらく正当進化ということで、完成品はこれを採用
したものになるのではないでしょうか。その代わりといってはなんですが、立ちキャ
ラが左にスライドして空きスペースにテキストを表示、というのがなくなってます。
遠中近すべてを使うとこんな感じ。キャラクターいっぱいです。はい。
至近距離だとこうなります。密着とかヒソヒソ話とかではコレになります。
暑さで地面がゆらめくエフェクト。写真だとわかりにくいですが、ウネウネしてます。
霧に包まれているエフェクトです。キャラクターがぼやけて見えます。