二進数の界面 Ver.0

■宿題祭
■Nscripter
■ビジュアルノベル
■全年齢
http://yuukin.dyndns.org/

                                 (2004.01.14)
▼あらすじ
世界は、情報によって成り立っている。すべてのものは情報に置き換えることができる。0と1と、有限のアルゴリズムによって表すことのできる世界。ゆえに、この宇宙というシステムは有限である――――。

東京は電子化され、この地へ残る者と電子のフロンティアに向かう者とに分けられた。それゆえに、この地では人の姿は少ない。朝の通勤通学ラッシュなど歴史の授業で知るだけで、そんなことが本当にあったのかと思う。今日も電車は、俺とあいつ――珠洲の二人だけだ。
そんなある日、珠洲が消えてしまう。
姿だけではなく、ほとんどのクラスメイトの記憶からその存在が消えた。唯一記憶を残している秋津は、とりあえずついてこいと俺を廃ビルへ誘う。秋津曰く、ここはかつての東京と現世界との界面領域だという。訳も分からず案内された先には、多数のケーブルに繋がれた電算機の置かれた部屋だった。
「ここがふたつの現実の接点、界面さ」
これが、この電算機が珠洲が消えた原因を知っているのだろうか…………。
▼概要・システム
 近未来を舞台にした、非常に珍しい(たぶん)ハードSFビジュアルノベル。システムはNscripterをほぼそのまま使用。セーブ・ロードといった点は未実装ですが、それ以外は普通に使えます。
▼シナリオ・テキスト
 シナリオですが、すげー難解になるおそれあり。野暮ったいキャライラストに騙されました。大雑把に世界設定を説明すると、まず現在に比べてだいぶ先の未来。少なくとも日本は、現実世界と電子化した世界に住人が別れている。つまり、人間の完全な電子化が可能な世界。そして東京は過去のものとなり、旧東京として現東京の地下に封印されている……。
 そんな世界で普通の学園生活を送っていた主人公が、ひとりの女の子の消滅をきっかけに世界の存亡(このゲームの場合「構造の崩壊」かな)に関わるのではないのでしょうか。ただ、元の設定が難解なのはいいとして、それをかみ砕いてプレイヤーに理解させようとする部分がほとんどありません。冒頭で電算史の宿題とかがあるのですから、授業というシチュエーションを利用してちゃんと説明してもいいのではないかと思う。現仕様では、学園のシーンは友人との会話だけで、授業とかすべてすっ飛ばされています。
 テキストはそれほど悪くないと思う。ごく普通の学園ものエロゲーあたりを想定しておいてもらえば、そんなに外れてない。少々文章を詰めすぎているようなところがあるので、ちょっとプレイヤーに対して配慮をいただければと希望しておきます。それと、テキストの内容ももっと設定と首っ引きで調整したほうが良いかもしれません。主人公の部屋に本があるのは、彼の性格とこの世界では合いませんから。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクターに関しては、正直上手くないです。野暮ったいというか、おばさんくさい女の子がいっぱい出てきますが、彼女らが学生(たぶん女子高生)だと知った時はちょっとショックでした。OLかなにかじゃないかと思ってましたから。全員タレ目っぽいのだけは、ちょっと勘弁して欲しいかも。ですが、シナリオのヘビーさが野暮ったいキャラクターで緩和されているのかもしれないと、贔屓気味に思っちゃったりしてます。立ちグラフィックには、だいたい3、4パターン。男性キャラは数名いるものの、グラフィックはなし。イベントグラフィックもありません。背景は実写にエフェクトが掛かってますが、シナリオとからめると少々違和感があります。当然限界はありますが、可能な限り世界設定に沿った背景写真を使って欲しい。さすがに主人公の部屋は、あの世界にはそぐわないような気がします。
▼サウンド・SE
 サウンド周りは、あまり力が入ってないみたいです。曲数もすくないし、曲自体のクオリティも高くないです。ちょっと無機質な感じもしますが、このゲームの設定を考えると、合っているのかとも思えます。SEはなし。曲が変わる時、HDDをガリガリいいながらになるのがちょっと難。タイムラグも結構あるので、この辺は調整し直してもらいたいところです。
▼総評
 ロボットが出てきて宇宙でチャンバラするようなSFじゃなく、理屈で塗り固めるようなハードなSFをビジュアルノベルで見るとは思いませんでした。まだ全然完成してませんし、面白いかどうかも微妙なところとお断りを入れておきます。期待はしてますが、なんせ理解が追いついていってない状態ですから(笑) 
 ほとんど分かってもらえない例えを上げるなら、「ライトニングブリゲイド(漫画)」のラストや「順列都市(小説)」に近い世界観。旧東京の状況は『真・女神転生U』の地下東京みたいな感じ。ここの先、どこまでプレイヤーに理解してもらえるようなテキスト、シナリオが書けるか、そしてどこまでハッタリの効いた世界を構築できるかが鍵ではないでしょうか。もちろん、音楽とか絵とかのレベルが上がればなおよしといったところでしょう。ただでさえ珍しいSFビジュアルノベルの火を消さないためにも、上手い具合にロジックを組み上げていって欲しいところです。
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