■漂流王国
■吉里吉里2/KAG3
■ビジュアルノベル
■18禁
■300円ぐらいだったと思う
http://www2.odn.ne.jp/hyo-ryu/ccc/
                               (2004.02.28)


三日月仔猫 前奏曲


カットイン(仮名)イベントCG。背景は実写
です。画面小さいので区別つかないかも。
こっちは一枚絵のイベントCG。エッチ直前
なので鯖的にギリギリOKーーッ!!
通常画面はこんな感じ。これの背景はCG。
地の青がちょっと濃い……かな?
扱いは体験版だけどエンディングは8つと豪
勢。トゥルーエンドで次回の予告が追加。
▼総評
 トータル的に見れば、よく出来た体験版だと思います。
 なかでも良くできていると思わせるのは、「作品自体をある程度完結させつつ、
本編へ繋いでいる」ところ。通常、体験版といえば、本編のプロローグや紹介用
の掛け合い漫才的なものが多いのですが、『前奏曲』では本編の数ヶ月前を描い
ており、分岐によるシナリオの変化でとりあえず完結しているところが見事です。
本編へ繋がるシナリオは1本だけですが、それら(一応の)完結するエンドのお陰
で尻切れトンボの印象は薄く、なかなかのボリュームを感じさせます(加えて、本
編へのデモっぽいものは別にあったりします。テキストのみで少しだけですが)。
実のところ『前奏曲』の部分が本編に収録されるかは分かりません。収録されな
いのであれば本編序盤でのキャラクター紹介的な描写をしっかりやりつつ、『前奏
曲』を遊んだ人のためにニヤリとするネタがどこかに入っていると嬉しいかも。個
人的には『前奏曲』が収録されていてもいいかなと思ってます。

 さて、褒めておいてなんですが、懸念材料がないわけでもないです。というのも
本編は「学園推理もの」らしいのですが、『前奏曲』ではそういった部分がまったく
ないため、その辺りのクオリティというか実力がまったく見えません。学園モノとい
うよりは、「学園の演劇部に降りかかる事件もの」と考えた方がいいかもしれませ
ん。本編は夏休み合宿が主な舞台となるようなので、それほど学園ものという感
じはしないかもしれないからです(『前奏曲』でも演劇部員&顧問以外の学園関
係者はひとりも登場してませんでしたから)。そこのところを了承した上なら、購入
もアリだと思います。それと塗り関連のレベルアップに期待。また、右クリック系
を含めたシステム関連のユーザビリティがあまりよろしくない上に細かなバグが
結構あるので、一考をお願いしつつデバッグをきっちりしてもらたいところです。

  取り立てて悪いところはありませんし、本編でもそれなりのボリュームが期待
できそうです。個人的には演劇ものって結構好きなので、完成を期待したい一本
です。まぁ、合宿中に事件が起こるようなので、演劇ものを期待するのは間違っ
てるような気もしてますが(笑)
▼サウンド・SE
 音楽もSEもフリー素材を使っているようです。特に印象に残るような曲はありま
せんが、全体的な選曲は結構よさげです。SEは曲に比べてボリュームがちょっと
大きめ。特にシステム系クリック時のSEは、ちょっとやかましいというか硬質すぎ
で、個人的にはちょっとパスしたいかな。
▼シナリオ・テキスト
 「推理モノビジュアルノベル」とありますが、この体験版内にそういった場面はあ
りません。登場するキャラクターたちの紹介や本編に至るまでの状況説明といっ
たシナリオです。お話は、文芸部の主人公が演劇部の幼なじみに脚本を書くよう
に頼まれる、といった学園演劇もの。本編へのプロローグ的なソフトのわりに、シ
ナリオ上の分岐もしっかりしていてボリュームもあり、その上エンディングが8つも
ある豪華っぷり。クリア後に選択肢が追加され、別のエンドへの道が開けたりも
するのです。体験版のくせに(苦笑)。そのうちのひとつは本編へと続くもので、残
りはほほバッドですが、女の子とのハッピーエンドも一応あったりします。しっかり
とエロい部分があるのもプラス評価な部分ではありますが、あんまりエッチな感じ
はしないですね。
 テキストの方は、さほど問題ないと思います。比較的軽めなテキストかな。テキ
ストの地は半透明の濃いブルーで文字は読みやすいのですが、背景やキャラク
ターの色がちょっと死んでるっぽいので、微妙に薄くするなり等のバランス調整を
した方がいいかもしれません。ここは趣味の別れるところでしょうですけどね。
 エッチなシーンはありますが、テキストの方はあんまりエッチじゃないです。女
の子は初めてなので、ある意味エッチっぽく感じなくていいような悪いような。た
だ、エッチできるのはふたりだけですが、どちらのエッチも「着衣でエッチ」なので
す。これはこれで行ってくれれば、一部の人にはちょっとツボかもしれません。


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▼概要・システム
「ねぇ、台本書いてよ!!」
「だから、やらないって言ってるだろ」
幾度となく繰り返されてきたやりとり。
つたないとはいえ、俺は文芸部の小説書き。演劇の脚本なんて守備範囲外だ。
何度断わっても頼みにやってくるのは、幼なじみ故の気安さか、
演劇部の存続のためか。そんなに来られても困る。
…………もし書きたくなったらどうしてくれるんだ。

だが、ある賭け負けてしまった俺は、結局引き受けることになってしまう。
気は進まないが、受けてしまった以上どうにかしなくちゃならない。
演劇部室に図書館に、台本のネタを探して歩き回る。参考になりそうな本を読み
進むうちに、一冊の本から宛名のない封筒を見つけてしまう。
それは、ひとりの少女が書いた日常を綴った手紙だった。
人の書いた手紙を読んだことにばつの悪くなった俺は、
後日、内容を手がかりに手紙を返しに向かう。
そこには、まるで来るのが分かってたように少年が待ち受けていた。
手紙を書いた少女の兄だという。少女は身体が弱く、外出できないらしい。
不思議な親近感もあってか、手紙を渡しついでにたわいもない話を続けた。
まだ春先で夕暮れともなれば肌寒い。
薄暗くなった空には、細い三日月が浮かんでいた。
「三日月って不思議だよね」
そう語る彼の瞳は、まるで闇夜の猫のごとく帽子の下で瞬く。
その目は俺を貫き、震えるような快楽と、この上ない寒気をもたらした。
ああ、そうだ。これだ、これが欲しかったんだ。
別れもそこそこに、興奮して自転車のペダルをこいだ。
おぼろげにたゆたっていた数々のキーワードが、彼の視線を受けて昇華する。
一刻も早く書き留めたい。今すぐに。自分がニヤけているのがよく分かる。
そう、タイトルは「三日月仔猫」にしよう。
叫ぶのを我慢し、無謀ともいえる運転で帳の降りた世界を駆け抜けていった。


 ここ最近の中では比較的珍しい、推理モノビジュアルノベルの体験版。『前奏
曲』の名が示すとおり、本編の数ヶ月前のお話です。そのため、この『前奏曲』の
内容が完成したものに含まれるかどうかは不明です。本編は『三日月仔猫協奏
曲』だそうです。

 システムは吉里吉里2。基本的にはそのままだが「前回の続きから」という項
目があり、最後にプレイしたところからすぐに再開できる。クイックコンティニューみ
たいなものだと思って下さい。セーブなどはゲーム中の右クリックで表示されるメ
ニューからの選択となるのだが、ちょっと使いにくい。右クリックでシステムメニュ
ーを表示した後、再度右クリックするとメニューが消える。この「消える」というのは
ゲームに戻るのではなく、よくある「グラフィックを見る」というものなのだ。システ
ムメニュー内にも同様のメニューがあるため、ある意味無駄といえる。右クリック
はメニューの表示と各種キャンセル機能のみにして、「Show Graphic(グラフィッ
クを見る)」などはメニューからのみ使える機能にした方が使いやすいと思う。少
なくとも、現時点では直感的に使いづらいです。セーブデータは、そのシナリオの
サムネイルが表示されていて分かりやすいのですが時間をおくとわけわからなく
なるので、個人的にはセーブした時間かゲーム内日付などが表示されると嬉しい
ですね。あと、インストール時にシリアルが必要な同人ソフトは初めて見ました。
どこにシリアルがあるか分からず、ちょっと悩みましたが(笑)
 蛇足ではありますが、「show」の頭文字の統一はしたほうがイイですよ、と。そ
して、右クリックの処理は一度見直した方がいいと思います。現時点で、システ
ム周りはバグの温床っぽいです。
▼グラフィック
 キャラクターイラストはあまり問題ないと思う。ただ、文字の地となるウィンドウの
色が濃い目で画面全面に敷かれているため、キャラクターの色合いがよく分から
ず、ちょっと死んでしまっているかもしれない。塗りも超絶にすごくはないが、目く
じら立てるレベルではない。できれば、もうちょっと頑張って欲しい気はしますが。
表情差分は、キャラクターによって差はあるものの、比較的豊富です。野郎やサ
ブ的な扱いのキャラクターは少ないです。イベントグラフィックは何枚か収録されて
ます。これには2種類あって、普通にある一枚絵と背景はそのままにキャラクター
を大写しするようなものです。またエッチなイベントグラフィックもありますが、がん
ばりましょーといったところです。背景はちょっとアレな感じですし、あんまり女の
子がエッチく見えないです。背景は実写とCGと2種類で、それぞれ同じパターン
のエフェクトをかけて使用しています。ここで面白いのが、同じエフェクトを使うこと
で違うタイプの背景に対する違和感が緩和されている、ということ。見ればCGと
実写の違いは分かるですが、併用によるチグハグ感がかなり薄まっているので
す。個人的には、意外な効果でちょっとビックリ。グッドな手法だと思います。
CGの色味を薄めて同様の手法をとれば、さらに違和感が減るような気がするの
で、誰か試してみてください。
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