exception conflict

■漂流王国
■吉里吉里2/KAG3
■ビジュアルノベル
■18禁
■300円ぐらいだったと思う
http://www2.odn.ne.jp/hyo-ryu/ccc/

                            (2005.06.01)
▼概要・システム
 秋の地区大会に向け、夏休みに学園で2泊3日の合宿中を行う演劇部。その3日間に起こった事件を描いたサスペンス風? 推理ものビジュアルノベル。
 前作というかプロローグ作というか微妙な位置にある『三日月仔猫前奏曲』(以下『前奏曲』)の本編にあたる作品の体験版。プレイ開始直後に『前奏曲』のあらすじ見られるので、前作を遊んでいなくとも一応安心。でも本当にあらすじだけなので説明不足は否めません。

 システムは吉里吉里2。昨日はほぼデフォルトのままなのようだが、右クリック関連のバグが酷いというか凄い。いや凄かった。とはいえ修正パッチが配布されているので、早々に当てるが吉。だが、パッチを当てる前のセーブデータを使うとパッチを当てた後でもバグるのでちょっと説明不足かもしれない(おかげでパッチの意味ないだろうとずっと思ってました。このレビューをhtmlにするまで)。
 デフォルトではない部分は、タイトルメニューの「前回の続きから始める」でシナリオの境目からプレイの再開ができます。どうやらプレイ中に1カ所だけオートセーブされているようです。通常のセーブ数は10。『前奏曲』同様にエンディングリストもあり、登場人物からのご挨拶もあります。また、タイトル画面で放置しておくとキャラクター紹介か作中劇の役柄紹介デモが流れます。キャラクター紹介はサイトなどでも見られますが、劇の役についてはここでしか見られません。見られませんが、シナリオがそれを役立てるところまで行ってないので微妙です。
 ……このデモ、気づく人どれだけいるんだろうか? というぐらい見る可能性が低そうなわりにキャラ紹介デモは2パターンあるし、使っている曲はデモごとにが違うしと、無駄に力入ってます。
▼シナリオ・テキスト
 収録されているは1日目の午前中までで、キャラクターの紹介と主人公たちの状況説明で終わっている状態です。シナリオのメインは推理、サスペンスとのことですが、現在の時点で何も起きていないのでそちら方面の実力については不明です。特に目を引く事件が起こっていないので、プレイヤーに対する引きもありません。一応、4つのエンディングがあるのですが、3つはバッドエンド、残る1つが本編に続くシナリオとなっています。まぁ3つのバッドエンドは、お遊びみたいなものなので、あってもなくてもいい程度。ただ、これを含めて『前奏曲』と同等のボリュームというのは、ちょっと誇大広告がすぎるかな。
 テキストはすでに『前奏曲』のものを覚えてないのでなんともいえませんが、体言止めが多用されているため、ひどく読みづらいです。それ以外に突っ込むところはあまりないかな。
 エロはあるにはありますが、寸止めの2歩手前ぐらいですので、評価の対象から外してます。それにしても鴫子さんはエロス担当員ですか? 『前奏曲』から身体張って頑張ってるなぁ。
▼イラスト・グラフィック
 新登場のキャラクターが2人増えましたが、『前奏曲』に登場したキャラは特に変わっていません。ヒロインの立ちグラフィックにバリエーションが増えた気がしますが、その他のキャラクターに関しては据え置きといった感じです。塗りについては、『前奏曲』登場キャラがほぼ据え置きかちょっとよくなったかも程度、新キャラは印象薄目といった感じです。「ちょっと良くなったかも程度」は、テキストの地に引かれている色が薄い青紫から薄いブラックに変わった影響かもしれません。また、「新キャラクターの印象が薄め」なのは、ほとんどの新キャラが白、グレー、薄い水色などといった元々薄い色を多用しているキャラだからかも。悪くはないのですが、見た目であまり印象の残らないキャラクターはちょっとどうよ、と少し疑問を抱いてしまいます。
 イベントグラフィックは数枚ありますが、ほとんどが18禁、または微妙なお色気? グラフィック。ラフと清書の中間ぐらいの主線と塗りでだいぶ荒いです。
 背景はフリー素材の実写とCGの混在です。前作同様、どちらも同じエフェクトをかけて使用しているため、ちぐはぐさはあまりありません。シーンに適した背景の入手が困難なのか、だいぶ苦労の後が見て取れます。それもあって背景が黒一色のシーンが頻繁にあるのが気にかかります。そうでなければならないシーンもあるのですが、これが多すぎると手抜きに見られかねないので、適当な背景を入れた方がいいのではないかと思います。 なお、シーンの切り替えに挿入されるアイキャッチは、書き殴った題字とイラストで構成されていますが、とりあえずこれはこれでよいのではないでしょうか。通常素材で小綺麗に作ると、逆に印象に残らないですから。
▼サウンド・SE
 BGM、SEともにフリー素材を使用しているようです。『前奏曲』から継続しているものが多いようで、イメージ的にかけ離れた感じはありません。ケチつけるとしたら、冒頭の女性の悲鳴が悲鳴に聞こえないぐらいでしょうか。さすがにこれは、どうにかした方がいいんじゃないかな。
▼総評
 正直にいえば、期待はずれ。
 次回(次の体験版? 完成版?)への引きがなく終わっているのと、ボリュームのなさが原因です。序盤はキャラクター紹介に終始して物語の進みが遅くなっているようなので、いっそのこと『前奏曲』を丸々収録してしまってもよいのではないかと思いました。ボリュームについては『前奏曲』のイメージが頭にあるからという点を差し引いても、ちょっと物足りないかな。

 以前の感想で気にかけていたシナリオの推理やサスペンス的な部分についての答えの一端が見られるかと思った体験版でしたが、残念ながらそこまで収録されていませんでした。そう言う意味では、期待していただけに残念です。
 とはいえ、奈落の底まで評価を下げたという訳ではなく、「フツーの体験版といえば、こんな程度だよな」といった感じです。まぁ、気長に待つのが吉ですかね。

 なお、ソフトのタイトルと同じ作中劇の『三日月仔猫狂想曲』は館ものです。森の奥にある豪華な屋敷。その館に迷い込んだ人々はそこで……っていうお話みたいです。ベタですな。メイドさんも登場するようですよ? 
 個人的には、劇中のネタや出来事と現実とがリンクして昇華するようなシナリオを期待したいところ。以前、上記のような芝居を一度だけ見たことあるのです(場末のどマイナーな劇団でした)が、果たして『狂想曲』ではそれを超えることができるかっ……!? ってのが一番の関心事だったりします。
戻る
inserted by FC2 system