Dolls 体験版 Ver1.0

■Tynk
■Macromedia Projector
■ビジュアルノベル
■今のところ全年齢
■100円
http://ammonite.readymade.jp/tynk/

                                 (2006.01.11)
▼概要・システム
 朝、目覚めると大人たちが消え、氷のように冷たくなった子供たちが眠り続ける世界が広がっていた。一体、世界に何が起こったか? その真相に迫るビジュアルノベル。ジャンルはなんだろ。伝奇かファンタジーか夢オチ?

 システムはMacromedia Projector。NScripterや吉里吉里2など代表的なノベルエンジンに慣れた身にとっては、今更このシステムはあまりにキツい。どこがキツって、全部キツいとしか言いようがない。あえてその部分を挙げるなら、
・文字表示スピード変更不可
・どんな文章だろうが、1ラインごとにクリックしないとテキストが進まない
・文字の地になにもないので、背景が明るくなると文字が見づらい
 (白文字に黒シャドウが入っているが、それでも読みづらい)

フルスクリーン/ウィンドウモードの切り替えやセーブ、ロードができないのは構わないんですが、普通にプレイしていてストレスが溜まような仕様は致命的だと思います。収録されているreadmeにはMacでプレイするための環境もちゃんと明記されているので、ハイブリッドであることを意識してシステムにMacromedia Projectorを選択したのでしょう。その判断は否だ、とは言いませんが、是であるとは思えないのが偽らざる心境です。……って、これオートプレイ標準装備なのかよ! (さらにバックグラウンドでゲームを立ち上げたままテキストを書いていると、キーボードのキーに反応してメッセージが読み進められていく。あんまり意味ねぇ……謎仕様すぎだぜMacromedia Projector)
▼シナリオ・テキスト
 主人公は大人のように世界から消えてはおらず、また子供のように眠ってもいない大学生の青年。幼なじみの友人とともに何が起こったかを調べ始める、というのが基本的なストーリーで、その入り口のところで体験版は終了する。なぜに(現時点で)主人公と友人だけが存在しているのかはまだ謎のままで、これから解明されていくのだと思う。あまりにもファンタジーすぎる理由だと興ざめするので、それ相応の納得できる理由があることを望みたいです。

 テキストの方は、ちょっと大分結構読みづらい。物語の構築とシーンに必要なものを一生懸命書いている感じは分かるのですが、あまり「物語を読んでもらおう」という形になっていないようでテンポが悪い。もうちょっと簡素かつテンポ良く読めるように調整をお願いしたいところです(システムの使いにくさもテンポの悪さに一役買っています)。また、ゲームの途中で選択肢が現れることがあるのですが、まだ未実装なところが多く選択肢が1つしかない部分が多々あります。当然、これをクリックしなくては先に進まないのですが、効果としては無意味なので、体験版と割り切るならば1つしかない選択肢は切り捨ててしまっても良かったのではないかと思います。
▼イラスト・グラフィック
 個人的には全然許容範囲内ですが、世間的に見るとイラストも塗りもそれほどレベルは高くありません。絵柄は、少女漫画っぽく線の細いタッチです。キャラクターによっては表情差分がありますが、あまり数はありません。イベントグラフィックはCGです。OHPのトップにある画像とほぼ同じ? ものを1枚だけ見ることができます。背景は実写にエフェクトをかけたものを使用しています。かなり薄目のエフェクトなので、近所の人なら場所が分かっちゃうかもしれませんね。もう少しきつめにかけてもいいかもしれません。
▼サウンド・SE
 使用されている曲は4曲ほど。特に問題はないと思いますが、異常事態なのだから街中などで流れる曲はもうちょっと緊張感があってもいいかなと思いました。SEは携帯電話や目覚ましなどで使われてます。どうせなら、試験放送やサンドストーム(※)にもSE付けちゃえと無責任に言ってみます。なお、readmeを読む感じでは、サウンド、SEともに無料素材を使用しているようです。
▼総評
 キチー! チョーキチー! ムチャムチャキチー!
 できの良し悪しとか以前に、Macromedia Projectorが問題。プレイしていてストレスが溜まる犯人は、間違いなくコイツが原因です。同人とはいえNScripterや吉里吉里2など、使いやすいノベルエンジンに調教された身としては、Macromedia Projectorは不便の塊に見えます。まだシステム構築が完全に終わってないとしても、あまりに使いにくい。WindowsだけでなくMacでもプレイできるように、という考えを否定するわけじゃありません。ただ、Mac対応が絶対条件というのでなければ、システム変更、乗り換えをお願いしたいところです。「二兎を追う者は一兔をも得ず」って言うし。

 もともと漫画読みだからこれぐらいのイラストなら許容できるし、ストーリーのつかみもそれほど悪くはないので、長い目で遠くから完成に至るまで眺めてましょうという感じです。なにせ、ストーリーに関しては怪しいとは思いつつも分からないところだらけですから。


※サンドストーム……テレビ放送が終わった後によく流れている「ザー」 っという灰色の画面を、業界ではサンドストームというそうです。よく「砂嵐」とか言うのを聞くけど、まんまだったんだんですねぇ。
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