森 OP demo Ver.

■八十八軟式開発
■吉里吉里2/KAG3
■アドベンチャー
■全年齢
■値段:無料配布だった気がする
http://www.ip.mirai.ne.jp/~yasoya-soft/

                                 (2005.12.20)
▼概要・システム
 両親の死の謎を解くため、山奥にある村へと帰郷する主人公を描いたアドベンチャーゲーム。

 システムは2吉里吉里2/KAG3。タイトルの通りオープニングデモ的なもののためか、システム関連のメニューは一切ありません。ないのですが、AやS、Alt+Enterなどキーボードに割り当てられているためかなり使いにくい。セーブ/ロードは未実装です。画面レイアウトは、シネスコサイズみたいな感じで、上下は黒く切られています(CGとの境目は若干ぼかされているみたいで、違和感はあまりありません)。その下の黒い部分にテキストが表示されます。表示される文字は2ラインまで。フォントが(おそらく)明朝体固定で少し見づらいです。
▼シナリオ・テキスト
 今回のロムは「OP Ver」とあるとおり、ゲーム本編が始まるまでを描いたもの。主人公は実家から離れて暮らす大学生。故郷に家を建てた両親から新築祝いをするから戻ってこいと連絡を受けた主人公。だがその数日後、新居で自殺した両親が発見され、主人公は訳の分からないまま帰郷することになる……というのがこのロムでのあらすじ。 登場人物は、現在のところ主人公とその家族(両親と妹?)と友人、電車で出会った女性。キャラクターについては細かな説明はなく、その辺りは本編で説明されることとなりそうです。それだけに、誰が誰だか分かりづらいなぁと思うところがあります。
 幸せな家族が突然の悲運に見舞われる? タイプの導入部分は、どこかサスペンスチックな感じを受けます。伝奇の線も捨て切れませんが、どちらにせよ妙に故郷がどうなってしまっているのか興味をそそられる導入部です。

 テキストは今のところ問題ありません。だいぶ混乱しているような感じで読みにくい部分はありますが、主人公が混乱しているのを演出しているのか、それとも素なのかなんとも分かりづらいので保留でも扱いが無難かも。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクターは今風の絵に劇画っぽさが混ざっている感じとでもいえばいいでしょうか。今風のギャル絵4に諸星大二郎1を混ぜたというかなんというか。濃いめの水彩タッチで塗られており、渋めの雰囲気があるキャラクターです。個人的には全然OKです。
 このゲームには、今のところ立ちキャラというものはありません。イベントグラフィック以外では、背景にあわせたような姿勢や姿のキャラクターCGを表示して、その場に居る、居ないを表現しています。なかなか言葉で伝えるのが難しいのですが、(少し古いですけども)『腐り姫』タイプのキャラクター表示方法です。
 背景はすべてCG。電車や森など外の背景はなかなかいい感じで、青と緑が美しい。ですが、家の中のCGはちょっと物足りない感じです。引っ越し直前だから何もない、といわれればそれまでですが、それにしても地味かつ何もなさ過ぎな感じがします。
 また、オープニングだからということもあるでしょうが、プログラマブルのデモがかなりいい感じです。映画のようなカット割りの連続で、自然と主人公へ視線が集まっていきます。これ以外にも、電車内では常に窓から流れる森や空、雲が見られ、ゲームではあまりない「ごく日常のあたりまえなシーン」を見ることができます。演出は全般的にいい感じなので、本編の方も期待したくなります。
▼サウンド・SE
 曲は一切なし。電車が走っている音や虫が鳴いている音、携帯電話を切る音といったSEは細々と入っています。
▼総評
 確かにオープニングしか収録されていませんが、「ちょっと両親、どうしちゃったんだよ!?」とその部分だけでも先に見たいです。それに加え、プログラマブルでの演出に長けているところが個人的にツボなので、全体的な期待度はちょっと高いです。できれば伝奇よりも、サスペンスのであることを期待したいですね。
 ただ、演出部分が良くても、プレイ環境に関わるシステム部分が全然できていないので、その辺りの実装を早めに望みたいところです。そして最大の懸念事項が、readmeに「8月18日より順次コンテンツ公開予定」とありながら、何もないところでしょうか。C69受かってるみたいですが、大丈夫なのかなぁ。

 個人的には心惹かれるところがあるので期待したい一本ではあります。が、シナリオはオープニングだけなので期待しつつもまったく先が見えていないこと、そしてサイトが何も更新されてないところが不安材料かな。
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