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〜魔女の箱庭0.5〜

■サークル名不明
■吉里吉里2/KAG3
■ノベル
■全年齢
■価格ど忘れ
■サイトはないようです

                                 (2004.04.22)
▼あらすじ
一体、何がどうしてしまったのだろう。
意識はあるが、体は動くことを拒否している。事態が把握できず、混乱している頭に声が響いてきた。
「お前はもう、助からない」
冗談じゃない。何が起こったのか分からずに死んでたまるか。
「生きたいか」
そんなこと、当たり前じゃないか。
「お前はお前でなくなるかもしれない。それでも――」
そんなの決まってるだろう。何度も言わせるな。
「そうか。それなら――」
そうして始めて、俺は動くことを許されたと同時に意識が遠のいていった。

目を開けて入ってきたのは、眩しい光と空中に浮いた少女の姿だった。
その少女はセレンとぶっきらぼうに名乗った。さきほどから聞こえていた声は、彼女のものだったのだろう。浮いているのは、魔法のおかげだという。魔法なんてあるはずがない。だが、着ている服や窓の外の風景は、知らない場所であることを物語っていた。セレンによると、俺は俺が居た世界から、こちらの世界に飛ばされたのだという。理由は彼女も分からないらしい。彼女の不遜な態度には引っかかるところがあるが、俺を元の世界に戻す手伝いをしてくれるという。その代わりに働け、というのが条件だ。他に方法が思い当たらない俺は、しぶしぶ彼女の申し出を受け入れた――――
▼概要・システム
 ファンタジー世界に迷い込んだ主人公が、現実世界に戻ろうと世界を巡り奮闘するノベル。システム周りは吉里吉里2の基本的な部分が使用可能です。
▼シナリオ・テキスト
 あらすじは概要の通りなのですが、シナリオの本質的な部分はループノベル(という言葉があるかどうかはちょっと不明ですが、ニュアンス的にはそういったもの)らしいです。繰り返される数日間(厳密には違いますが)を手探りで進みながら、この世界or時間から抜け出るといった感じのお話っぽいです。この体験版では、そのうちの1エンドが最後までプレイ可能です。選択肢はありません。
 プレイできるシナリオは、既に幾度も繰り返された状態(というか、それが前提状態)から始まるようです。そのため、主要なキャラクターは「繰り返し訪れる主人公」のことを知っており、それでいて詳しいことを教えてくれない造りになっています。プレイヤーに情報を与えずに謎だらけの世界へ放り込んで、プレイの繰り返しにより少しずつ謎を解いていくタイプのシナリオだと思うのですが、この体験版においては致命的な弱点があります。それは、「繰り返しプレイする事による謎の解明」が体験できないことです。この手のゲーム、シナリオのの肝といえる部分ですが、選択肢もなしにエンディングへ辿り着いてしまうので、「こういうお話(世界設定)なのか」という状況が把握できるだけで、面白さが伝わらないような気がします。せめて分岐によって2,3のエンディングへたどり着けたなら、もうちょっと作者が「作り上げたい物語」が垣間見られると思うのですけどね。

 テキストは普通。ただ、シナリオの都合上、主要キャラクターはもってまわった言い回しなので、その辺りでちょっとムカツクかも。あと、フォントがちょっと小さいかも。もう一回りか二回り大きくしてもいいのではないかと思う。
▼イラスト・グラフィック
 パッケージにこそイラストが入っているものの、ゲームにはキャラクター等の原画はありません。背景イラストや背景写真すらなく、黒やグレー、青といった単色の背景が場面によって差し替わるだけです。仕様だそうです。
▼サウンド・SE
 音楽周りもまったくありません。これも仕様だそうです。
▼総評
 やりたいことはなんとなく分かるが、あまり「遊びたいなぁ」とは思えない作品。シナリオの良し悪しではなく、仕様だからといってグラフィックとサウンドを切り捨てているのが大きな要因。キャラクターなどの立ちグラフィックがないのはともかく、湖に着いた→ブルーバックに変更、岩山に着いた→ブラウンバックに変更か単色の背景でお話にのめり込めるかっていうと、ちょっと無理な話。「小説は絵も音もなくてものめり込めるじゃん」と言われればそうなのだが、筆者としてはこれを「ノベルゲーム」と認識しており、「小説」とは評価基準が異なるために比べられない。だからといって「ノベルゲームじゃなくて小説にすれば?」とも言えない。作者がやりたい「同じ(ような)状況の繰り返しプレイによる謎解き」は、たぶん小説では無理(できても難しい)からだ。五十歩ぐらい譲って「小説は絵も音もなくてものめり込めるじゃん」という主張を受け入れたとしても、のめり込めほど面白いお話じゃなかったりします。ループノベルは「お話としての面白さ」もさることながら、「シナリオ(もしくはシステム)による仕掛け」で楽しませるタイプだと思うわけでして、それが見られないのは体験版として致命的な気がします。また、時間がなかったからと言われるかもしれませんが、グラフィックやサウンドがないのを「仕様」ですませるのではなく、なるべく入れる方向で考えてもいいと思う。「体験版」だから無くてもいいものではないし、むしろ体験版だからこそ人の目を引きつける要素は、可能な限り入れてもいいんじゃないでしょうか?

 あと、メールアドレスが死んでるのもちょっとマイナス(笑)
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