そのものたちを儚い雨は振り染める Immaturity Ver.

■蒼樹
■Yukki! NOVEL
■ビジュアルノベル
■18禁
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                                 (2003.10.25)
▼あらすじ
 一年前に見た殺人事件。あるひとつのことを除けば、普通の事件だった。それらの死体からは、心臓が抜かれていた。オカルトライターを生業としていた俺は、第一発見者をいいことに他人の不幸を書きまくった。だが、しだいに世間はこの話題を消費し、忘れられていった。そんな折り、一通のメールが届く。
「……一年前の事件のことを知りたくないですか?」
メールには、どことなく記憶に残る忘れ去りたい過去に連なる街と神社の名が記されていた。いやな予感はある。だが、好奇心を押さえることができない俺は、急ぎ荷物をまとめ一路彼の地へ赴いた――。
▼概要・システム
 特異な風習の残る神社とその真なる巫女、そして自らの左目に秘された過去と意味とに翻弄される主人公・守 隆人を描いたバリバリの伝奇ビジュアルノベル。
▼シナリオ・テキスト
「Yukki! NOVEL」は初めて触ったのですが、セーブ数少な目、テキスト速度変更不可など、元の仕様の足りなさなのか、この作品特有の仕様なのかわかりませんが、ちょっと使いにくい感じでした。

 シナリオの傾向は、誰がどう見ても伝奇。巫女、神楽、しきたり、上社、口数の少ない不思議少女、謎の左目、かつて袂を分かった謎の女性などなど、伝奇向きのパーツはたっぷりそろってます。主人公にも過去のトラウマか特殊能力か、伝奇機能が隠されているような描写がされている。ほのめかすとかではなくモロに「そういった部分があります!」ってな風に書かれているので、あまりスマートな感じはしません。体験版にはメインシナリオの約半分ほどが、選択肢なしに収録されています。完成した暁には、選択肢も導入されるとのこと。
 テキストは、それほど上手い感じはしませんでした。少し冗長気味で、漢字にできるものはすべて漢字にしてしまっているために読みにくいところもあります。また、複数の読み方がある漢字にはカッコを使うなりして、読み方を入れた方がいいかもしれません。例として、ストーリーの核ともいえる「縁の巫女」。「えんのみこ」「えにしのみこ」「ゆかりのみこ」など、どれで読んでもそれっぽい。こういったものは統一させるためにも、初出時に読み方を付けた方がよいのでは、と思う(ルビを付けろとまではいいませんが)。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクターの原画は、ちょいと力不足って気もしますが許容範囲かと。塗りの方は少しグロスっぽすぎる感じです。もうちょっとマットな感じでもいいかなと思います。背景は実写にエフェクト。エフェクトはかなりキツ目です。ただ、背景の上に半透明の黒をかぶせ忘れがあり、文字が読みにくい部分がたまにあります。ミスだとは思いますが、それ以前に文字が小さめで背景によって視認しやすさ/しにくさが左右されてしまってますので、ちょっと改善した方が良いかもしれません。
▼サウンド・SE
 サウンドはそれほど印象に残らず。鳴っているなぁ程度。SEは一応アリです。BGMかSEか微妙なところですが、雨の降っている音はかなりやかましいです。
▼総評
 伝奇は好きなのですが、正直なところ本作は微妙だったりします。伝奇っぽい仕掛けは多そうですし、主人公にもヒロインにも謎がありそうだと要素は申し分なく揃っているようですが、どうもあまり面白そうな予感がしないのです。無難な要素揃えが個性のなさに繋がっているのかもしれません。読みにくいテキストがそれに輪をかけて私内評価が下がっている感じです。完成した暁には「何となく」買ってしまうかもしれませんが、序盤、もしくは遊ばずに積みっぱなしになるような気がします。
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