ひな鳥のたつる水の音〜二人きりの水泳部〜 体験版2

■下野流星工房
■吉里吉里2
■ジュブナイルノベル+お触りアクションゲーム
■18禁
■100円
http://kanaejun.net/software/

                                 (2009.12.05)
▼あらすじ
今年の夏は、終わった。
予選会は12位に終わり、部活はもう引退となる。
後輩の女の子とふたりだけの水泳部。来年には彼女一人になってしまうかもしれない。
明日からどうしようかと話しているうちに駅に到着する。
そこで僕は、彼女から手紙を受け取った。
青ざめた顔で帰る彼女に、僕は気の利いた言葉を返すことができないでいた。
意を決して封を切ると、そこには告白の言葉と、7日後に町から引っ越すことになると綴られていた。

照りつける太陽の下、学校のプールに集う僕と彼女。
今日から7日間、二人だけの最後の夏合宿が始まる。
▼概要・システム
 ほんわかとした切ない7日間の夏の恋を描いたアドベンチャーゲーム。しかし、プロローグ終わって一息つくとすぐHシーンに突入するのは、18禁ゲームとしては正しいと思うが、果たしてこれはジュブナイルといっていいだろうかと問わずにはいられない。
 使用しているシステムは吉里吉里2。画面下部にメッセージウィンドウが表示されるタイプのアドベンチャーだが、Hシーンではグラフィックに被らないような場所に主人公とヒロインのセリフが個別に表示されるという特殊な仕様となっている。左クリックでメッセージウィンドウの表示/非表示の切り替えが可能。オプションやシステムといったメニューは、全部ツールバーの方で行う仕様となっている。なお、通常時ではマウスカーソルは表示されず、セーブ/ロード時にのみ画面に表示されます(Hシーン時はセーブ/ロード不可)。
 Hシーンは上記のアドベンチャーゲームタイプではなく、女の子が感じるところなどをクリック(タッチというのが適当か)&ドラッグ(行動的には揉むとか上下に動かしてピストン再現とか)するという、エロゲーライクなものとなっている。このシーンになるとマウスカーソルは手の形に変化し、女の子を触ったり弄ったりして感度グラフ(二人の高ぶりがセットになっている)が上がりきるとシーンが先に進んでいく、というシステムになってます。
 しかし、デバッグが不十分なのか、マウスカーソルと左クリック周りでバグが続出。
・ゲーム最初の場面のメッセージウィンドウは、左クリックをしても消えない。
・ロード画面を呼び出して何もせずにゲームに戻ると、左クリックを押すたびにメッセージウィンドウに「てす」という文字が追記される。
・上記の行動を繰り返していると、左クリックでメッセージ送りができるようになる(再現性は低いけど)
・Hシーンでメッセージが表示されたとき、左クリックを押して表示/非表示を繰り返していると、ゲームを進めてもメッセージが画面から消えずに残ることがある。
・またその際、Hシーンで手アイコン(マスカーソル)が消えてしまうことがある。
中にはゲームを続けるのが困難になるものもあるので、頑張って潰しもらいたいところです。
 なお、マウスを色々と動かす動作が必要なゲームなので、ウインドウモード推奨だそうです(フルスクリーンでもちゃんと遊べる)。
▼シナリオ・テキスト
 7日後に引っ越すことになったヒロインと彼女に告白された主人公の恋? を描いた物語。
プロローグで告白の手紙をもらって、次の日に返事をして、なんとなくHしちゃった!? というのが体験版の内容。7日間のうちの1日目(厳密には2日目の冒頭まで)が描かれています。
 主人公とヒロイン双方を掘り下げるようなシーンはほどんどなく、あんまり感情移入はできない。7日間でそれを描いていくと思われるので、体験版でどうこういってもしょうがないのかもしれない。ストーリーで興味を引かれた、というところはないです。
 あ、Hシーンですが、個人的にはピクリともしませんでした。多めの描写やあえぎ声などで読ませるタイプではなく、少なめの描写とシチュエーションで雰囲気を感じさせるタイプのHシーンでした。これは1日目(女の子は初めて)の印象で、Hに慣れた2日目以降はどうなるかまではちょっと分かりませんが、作者が「inspre」好きのようなのでガツガツエロエロした濃厚なHシーンにはならず、薄目のものになるんじゃないかなと思います。
 もっとも、ピクリとしもなかった原因は、ツルペタ&スク水属性を持ち合わせてなかったからじゃないかなーと思います。こればっかりは、なぁ(苦笑)
▼イラスト・グラフィック
 主人公たちが中○生なのか高○生なのか分からないけど、少々ロリ……というか、大人になる手前の未発育の状態で少しぽっちゃり目なキャラクターデザインになっています。登場する女の子は、メインヒロインとその友人の女の子の二人。友人の方はHできるかどうか不明です。
立ちキャラクターの差分も結構ありますが、このゲームで恐ろしいのはHシーンのCG。パッと見は一枚絵のイベントCGなんですが、触ったり弄ったりするたびに女の子の手がぴくぴく震えたり表情が変化したり、さらにはスク水の肩のところをずらしたり(つまむ程度なんですけど)することができます。それ以外にも足が動いたり動きに合わせて上半身も動いたりと、フルアニメーションとまではいきませんが、視覚的に楽しませてくれます。開発のブログとか読んでみると、この細かい動きのパーツを全部差分で作って動かしているようです。すべてのHシーンでこれをやるのかどうかまでは分かりませんが、やっているとしたらすごいなぁと思います。単純ではありますが膨大な作業量を要する仕様を、マンパワーで無理矢理形にしているようなところに男気、というかツルペタとスク水に対する執念を感じさせます。
 背景はCG。ここしばらく真面目に同人ソフトを遊んでないのですが、このゲームの背景はコレまで見た中でダントツのクオリティを誇っています。特に駅の背景CGはかなりの緻密さで、一見の価値アリ。実はこのゲームで最初に驚嘆したのが背景CGだったりします。
▼サウンド・SE
 サウンドは5曲。曲は「SENTIVE」がフリー素材として提供している「SLOS (ロス)」からチョイスして使われている。曲に関しては特に問題はない。
 SEは数多く使われており、電車の走る音や駅の騒音のようなものなど、かなり臨場感がある。また、蝉の鳴き声だけで夏を感じさせたり、Hシーンで心臓の音が鼓動させたりするなど、単にSEとしてだけでなく情景を描写するBGMとしても使われている。Hシーンは、フィニッシュに向けて心臓音が早くなるなど、演出としても上手い。SEを使うセンスは、かなり高いと思う。
 女の子2人はそれぞれフルボイス。日常会話は特に問題はありませんが、Hシーンでどうなるかが分からないので、完成版でその辺の評価が分かれるかもしれない。
▼総評
 グラフィック面もサウンド面も、非の打ち所がない。シナリオ面は、実のところそれほど真新しいものはないが、それ以上に作者のツルペタとスク水に対する異様な熱意は伝わってくる。すべてのHシーンがスク水着用で、全裸がなかったとしても納得できてしまうほど。もっとも、その熱意はシナリオを通して描かれているというよりは、グラフィックやシステムで伝わって来るという感じなのだが。
 その一方で、システム周りのデバッグが結構おろそかになっているみたいなので、その辺には注意してもらいたいなと思う。
 懸念材料といえば、ボリュームかもしれない。体験版のプレイ時間が10分ほどで、これで2日目の頭まできている。これで総プレイ時間を換算すると70分ほど。頒布する価格にもよるだろうが、遊んだ人がそれで満足できるかどうかが、評価の分かれ目になりそうな気がする。

 とはいえ、このゲームの肝は「スク水とツルペタの女の子に対する愛!」なので、ボリュームとかにツッコミを入れるのは野暮だろう。上記の属性持ちの人間は、サイトで体験版が入手できるので特攻してくるといい。話はそれからだ。逆に上記の属性を持たない人にとっては、まったくエロさが感じられないので、手を出すのならそこのところを理解してからが吉。

 個人的には、ツルペタとスク水のどちらの属性にもフラグが立ってないので、全体的なクオリティの高さは認めるものの追いかけていくかどうかは微妙な感じ。このHシーンを実現するための力業とか、そういうところを見ると応援したくなるんですが、いかんせん趣味の隔たりは厳しいものがあるのです。はい。
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