かきしこきし 体験版

■サークルTrain
■吉里吉里2
■ビジュアルノベル
■全年齢(?)
■無料配布
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                                 (2009.04.08)
▼あらすじ
 幼い頃、住んでいた祖父母の家を訪れる時期が、またやってきた。。
父の仕事の関係で引っ越したため、その後、祖父母の家で暮らすことはなかったが、祖母の命日に朝顔を携えて行くことが毎年の恒例になっていた。
 今年もまた入谷の朝顔市で買った朝顔の鉢植えを手に故郷へと帰ってきた。暑い日差しの中、祖父母の家に向かう途中で、不思議な少女と出会う……。
▼概要・システム
 都会の喧噪から離れた故郷の街を舞台にした伝奇ビジュアルノベル。
 システムは吉里吉里2で、あまりカスタマイズされておらず、普通に使える。サウンド面以外で不備(後述)はないが、フェードアウトやトラシジョンなどの画面効果を使った演出にタイムラグが出たり、クリックで飛ばせてしまったりするところがある。物語を語る上で絶対必要ではないと思うが、その「間」を含めて見せたいところだと思うので、クリックで飛ばせないようにしてしまってもいいのではないかと思う。
▼シナリオ・テキスト
 シナリオは、主人公が幼い頃に出会ったが少女と再会し、そしてひとときの別れを体験するまでで、おそらく作品のプロローグといったところ。この後、作品内で1年後に本編が始まるのだと思います。伝奇物といっても、体験版を遊んだ範囲ではバトルものではなく、民俗学や伝承系のといった普通の意味での伝奇物っぽい。
 さて内容の方なのですが、イマイチぴんときません。幼い頃に住んでいた土地で、出会ったヒロインとの会話がメインでお話は進むのですが、どうも主人公に感情移入できない。冷めてるというほどでもないのですが、淡々としすぎている感じ。そのため、話が進んでもゲームが終わっても、心動くところはありませんでした。
 テキストの方は取り立てて何かというものはないが、行間や字間が狭すぎてちょっと読みづらい。この辺はもう少し調節して欲しいところ。また、段落が調整できておらず、テキスト中にいかにもといった空白がそこかしこに見られるのも残念なところ。
▼イラスト・グラフィック
 立ちキャライラストがあるのは、ヒロインと祖母の家を譲り受けたお手伝いのおばあさんの2人。ヒロインは豊富な表情パターンはあるが、変わるのは基本的に顔だけ。おばあさんは、微妙に若作りしたシワシワのおばあさんというイラストで、ちょっと違和感がある。縛った髪がミスマッチ感を醸し出してます。あとおばあさんが常に半透明なのは、やっぱバグでいいのだろうか(苦笑)。イベントCGは1点。クライマックスに表れますが、立ちイラストなどに比べるとちょっとクオリティは下がるかも。
 背景は基本的に写真。使われている写真にはエフェクトがかかっているものもあり、またかかってないものもある。さらに、エフェクトがかかっていても、写真によってその強さが違うなど全く統一感が取れていない。そのエフェクトもあまり綺麗にかかっておらず、影の場所が黒い点のようなものになっていて見苦しい。ちぐはぐな印象があるので、エフェクトを掛けるなら掛けるで、統一して欲しいところです。
 なお。エフェクトがかかっていない写真は綺麗ではあるのだが、そこに載っているお店をgoogleで調べたら住所まで分かるのは、さすがに問題というか興ざめではなかろうか。
▼サウンド・SE
 曲は11曲ぐらい。ボリュームから考えれば、かなり潤沢な使い方をしている。どれもフリー素材のようだが、比較的場面にあった使われ方をしていると思う。ただ、場面転換やシステムメニューを表示させると、曲の頭に戻ってしまうというバグがある。これはかなりみっともないので、直して欲しいところ。
 SEは電車の音や鈴の音など数ヶ所で使われている。コチラの方も特に問題なし。
▼総評
 派手さはあまりありませんが、落ち着いた伝奇ものになりそうな作品。バトル物ではない伝奇もの、おそらくマヨイガ的なものが好みの人向けかも。
 ただ、システム面や演出面にちょっと物足りないところがあるので、ここいらがどこまで改善されるかが、評価の分かれ目になるかもしれません。

 体験版が丸々プロローグなのはいいのですが、問題はここできっちり終わっているところ。本来ならそれは良いことだと思うのですが、キャラクターたちに惹かれるほどの魅力がなく、プロローグとして綺麗に終わってしまっているため「本編見ずにこれで終わっても別にいいや」という印象なのです。例えるならば、短編の創作同人誌を読んで、まあまぁかな。で終わってしまう心境というかなんというか。ここで本編のデモなどが入っていればまた別だったのかもしれません。
 もし、この作品に興味を持ったのならば、体験版を遊ばずに完成版を待った方がいいのかもしれません。
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