神谷幽霊奇譚 体験版

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■吉里吉里2
■ビジュアルノベル
■全年齢
■100円
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                                 (2010.09.10)
▼あらすじ
みえることはいいことじゃない。
ヤツらはこちらがみえていることを知ると、喜び勇んでつきまとってくる。
家を知られてしまうと最悪だ。
なまじ肉体がないだけにどこからでも入り込んでくる。
これだから、幽霊というものになんか関わりたくないんだ。ただ、普通の生活が送りたいだけ。しかし、家に帰ると少女の幽霊がマンガを読み漁っていて、元親友がトラブルの種を持ち込んでくる。
一体今度は、何を持ち込んできたのやら……。
▼概要・システム
 幽霊が見えてしまう駆け出しというほどでもない小説家と、知人? の幽霊たちとの日常を描いたビジュアルノベル。

 システムは吉里吉里2。プレイ中、右クリックで画面上のテキストは消えるが、システムメニューは表示されない。ツールバーなど、吉里吉里2のデフォルト部分のシステムのみ機能している。セーブ/ロードは可能。
▼シナリオ・テキスト
 シナリオは、数年前に投稿した小説で賞をもらい、そのときの賞金と印税で暮らす小説家が主人公。彼は幽霊が見える体質で、すでに亡くなった元親友(の幽霊)などからトラブルを持ち込まれてはいやいやながらも関わっていくという生活を送っている。
 体験版では上記の様子が描かれており、元親友から新たに連れてこられた幽霊の頼み事を聞く……というところで終わる。プレイ時間は15分ほど。体験版なんだからこんなものかなとも思うが、次につながる引きがない。依頼者となる幽霊の話を聞いてから終われば先の期待(不安もあるが)が持てるのだが、その直前で終わってしまっているためにあまり印象に残らない。その点では、あんまりいい終わり方じゃないと思う。

 テキストは、冒頭付近の主人公のモノローグのみちょっとだけ明治から大正にかけての文学作品みたいな古めかしい雰囲気があるが、それ以降は極めて普通な現代的な口調。文字の表示自体も密集させるのではなく、段を開けて読みやすくなっている。そういう意味では、ノベルゲームとしては良い方だ。
▼イラスト・グラフィック
 先に行っておくと、現状で立ちグラフィックがあるのは幽霊だけ。居候の少女(大正生まれな)、女子高生(当然元)、そして元親友の3キャラ分。キャラクターデザインについては特に問題はないと思う。表情など差分もありいうことはないのだが、塗りが背景と差があり多少浮いている感じもする。あと、元親友は学ランなのだが、真っ黒でディテールのほとんどが見えないのは少し残念かも。
 背景はCG。3Dのものじゃなく描いたものだと思うが、直線主体の絵柄なので少し硬い気がする。また、背景の塗りについてだが、キャラクターの塗りと色合いが合ってない感じなのでうまくすり合わせることができればなぁとも思う。
▼サウンド・SE
 サウンドはフリーのものを使用。体験版で使われている曲はそれほど多くないが、readmeやスタッフロールには6つものサイトが載っているので、完成した際にはかなり多彩な曲が聴けるのかも知れない。
 SEは少しだけ使用されている。
▼総評
 体験版としてももうひと頑張り欲しかった。これはボリュームとしての問題ではなく、終わり方の問題だと思う。先がまったく期待できないわけではないが、どういうことが起こるのか分からないまま終わってしまうためインパクトがない。作風からしてインパクトがどうこうという作品ではないのは分かっているが、それがないためにあまり印象に残らない。せめて、依頼者を登場させて何をして欲しいか……というところまで書ききってしまえば、もう少し作品に対する印象が残ったのではないかと思う。

 その他の点については、背景のCGがちょっと力不足かという以外は特に問題はないと思う。キャライラストも、万人受けするんじゃないかと思う。それだけに、上記の点は残念だ。

 個人的には、悪くないけど普通だなーという感じ。前述したとおりあまりインパクトのない終わり方だったため、先が楽しみかといわれるとそれほどでもないとしか答えられない。そこのところがもうちょっとどうにかなってればなぁと思う。今冬のコミケで完成する予定らしいが、現状での体験版の形を見ると、ちょっと無理じゃないかなーとも思う。


 それにしても5年近く働かずにすむ賞金と印税ってかなりすごいな。
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