LEVIATHAN 体験版

■御茶ノ水電子製作所
■オリジナル・システム
■アドベンチャー
■全年齢?
■300円か400円だと思う
http://www.ochaden.net/

                                 (2004.01.08)
▼概要・システム
 戦国時代の日向国周辺を舞台にしたアドベンチャーゲーム。

 システムは、基本エンジンがオリジナルのようです。タイトル画面の「ゲーム設定」から、テキストスピード、メッセージウィンドウの濃度、サウンド・グラフィックエフェクトの有無、画面サイズの変更ができます。プレイ中は画面上部にマウスカーソルを合わせるとシステムメニューが出現し、上記の設定のほかにセーブ/ロード、スキップ、メッセージウィンドウの消去、メッセージログ表示、ゲーム終了のコマンドが表示されます。機能的には問題ありませんが、ノベルやアドベンチャーで比較的よく採用されている「右クリック=メニューのキャンセル」がないので、システム関連のメニューを開いたあとはいちいち「戻る」をクリックしなければならないのです。ここは少し面倒なので、もうちょっと融通を利かせてくれると助かります。

 ゲームの基本システムは普通のアドベンチャーと同様です。大きく違うところは、区切りの良いところで(大抵、大きな場面転換など)でキャラクター選択画面が挿入され、そこで選んだキャラクターのストーリーを見ることができます。選べるキャラクターは3人。それぞれの視点で物語が進み、時には敵として、または味方としてほかのキャラクターと絡む場面もある(体験版だからかもしれませんが、いつでも3人のうち1人だけ選べるわけではありません)。ザッピングとまではいきませんが、多角的な面からストーリーが楽しめるという点では悪くありません。ただ、選んだキャラクター=プレイヤーであるため、選んだキャラクターがどんなキャラクターだったのか印象に残りにくくなってしまっています。メッセージウィンドウのどこかに、現在プレイしているキャラクターの顔グラフィックなどがあってもいいかもしれません(表情が変わればなおよし)。
 あと体験版用にエンディングがあるのですが、最後の画面からタイトル画面に戻ることができません。終了もできません。画面上部にカーソルを移動させてもシステムメニューが出ないので、フルスクリーンで遊んでいる場合は手詰まりとなりタスクマネージャーのお世話になることになります。バグじゃありませんが、詰めが甘いと言わざるをえません。
▼シナリオ・テキスト
 物語の舞台となるのは、戦国時代の日向国。伊藤家最高位の家臣の陰謀により、存続の危機に陥る灯社家。その陰謀を巡って、ストーリーは進んでいきます。プレイヤーが選択できるキャラクターは日向国灯社家の娘・律、灯社家の盟友である伊藤家家臣の壱岐智奈、そして狗憑きの家系に生まれた少年・椎葉呼太朗の3人で、それぞれの視点からストーリーが語られていく。おそらく、選択したキャラクターによってストーリーはある程度変化していくと思われます。最終的な結末は1つで、それをどのキャラクターで迎えることになるか、という可能性もありますが。
 現時点のシナリオですが、それほどパッとしないかな、という感じです。奇をてらえばいいというわけではないのですが、時代が違うとはいえ「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」を見ているような感じがしてしまうのです。体験版だからということもありますが、同じ事柄を別のキャラクターから見るというザッピング的な場面も少なく、システム的な売りが感じられないのも残念なところです

 テキストは普通だと思いますが、ちょっとノリというかテンポが悪いかな。それと、鬼の首を取ったような物言いで悪いのですが、「ドーム」とか「デリバリー」とか時代物にカタカナの現代語を使うのは止めて欲しいです。一気に冷めます。厳密に戦国時代当時のしゃべり方でなければだめだ! とまでは言いませんけれども、テレビの時代劇レベルには表現に気を遣って欲しいと思います。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクター原画は悪くありません。線が少なく整っている漫画的な絵柄とでも言えばいいんでしょうか。表情の差分はそれなりにあります。塗りも比較的あっさり目ですが、気になるレベルではありません。ただ、一部のキャラクターはウィンドウモードでも切り抜きの跡が見えるのが難点かな。イベントグラフィックは1枚だけありました。ずいぶん数が少ないですが、やっぱり体験版だからでしょうかね。背景は実写とCG、3Dモデリングの3つを使い分けています。屋外はほとのが実写で、エフェクトをかけて使用されています。城や武家屋敷の内部など、実写で賄えなかった背景は3DCGで作られています。CGの背景は、前述の2つのどちらでも賄えなかった場面数点で使われています。3D、CGの背景ともに精密ですげぇ! というほどではありませんが、見た目にはまったく問題ないレベルだと思います。ただ、質感の違う背景を見続けることになるので、統一感のなさは気になります。
▼サウンド・SE
 サウンドはかなりの数が使われています。悪くはないと思いますが、あまり印象に残る曲はありません。エンディングはヴォーカル曲ですが、声がこもっているのが残念です。SEも使われていますが、サウンドに比べると数は少ないです。これもヴォーカル曲と同様にこもっているというか、キレがない感じがします。
▼総評
 比較的まじめな時代物という点では興味をそそりますが、途中でカタカナを見て評価が一気に急降下です。そんな細かいところ見なくてもという人もいるでしょうが、世界観的にあり得ないものが出てきた次点でそういう気分になってしまうのです。これが、人食い鬼を退治しに行くハメになるとかなら「日本が舞台の時代物だし、そういうのも別にいいかな」ですむんですけど、現代的な用語が戦国時代のキャラクターの口からスルリと出てきた日には、おいおい、と眉をひそめたくなるのです。タイトルからして『LEVIATHAN』だから、ここは容認しなくちゃいけないところなのかもしれませんね(タイトルの由来は、太刀または小太刀の名の英字読みなんじゃないかな。そういう意味では、ほんのちょっと伝奇風味が入っていると言ってもいいかもしれません)。

 純粋なストーリー部分に関して言えば、ザッピング的な部分がどこまで機能するかにかかっていると思います。こまめなザッピングは多角的にストーリーを見せるのに効果的ですが各話が短編以下のボリュームになり細切れ感が出てしまいますし、また逆にザッピングが少ないとシステムとして採用した意味が薄くなってしまいそうです。3つの視点で進むストーリーがどう集約するかがこの手のシステムの肝ですから、そのさじ加減が面白くなるかどうかの鍵ではないでしょうか。

 多少システムは使いにくいですが、ザッピングと時代物に興味があるのならチェックしておいていいのではないでしょうか。個人的には、ディスクの中にインストール方法や必要環境などが書かれたものなど、必要最低限そうなものが入っていないなどあまり印象は良くないので見送りです。OHPでソフトの情報がほとんど得られないのもあまり良くないと思うんだけどなぁ。


(※日向国・ひゅうがのくに……現在の宮崎県にあたる場所。成立当初は鹿児島県を含んでいたようです。日州、また向州と呼ばれることもあるそうです)
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