ミトドケビト 体験版

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                                 (2003.10.25)
▼あらすじ
白い壁、白い天井、白いカーテン、白いシーツ、白い布団……。目が覚めた時に居たのは、地域でも大きな病院の一室だった。痛む左腕に顔をしかめながら、自らの境遇を思い出す。交通事故。初めて死にたくないと、強く強く思った瞬間。そんな記憶を振り払おうと周りを見回すと、そこにはヒトのような何かが浮かんでいた。
死神です、と自己紹介する少女。手には大きな鎌。これから人の死を看取りにいくという。一度は死を意識した直弥は、軽々しく死を語る少女を止めようと説得を試みる。
「それじゃあ、こうしましょう。直弥さんは、いまから『見届け人』になるというのは?」
▼概要・システム
 事故による入院生活を余儀なくしていた主人公・江西直弥は、ある晩、手違いで現われた死神子の見届け人となってしまう。そんなふたりと死を描いたアドベンチャーゲーム。
▼シナリオ・テキスト
 おそらくたぶん、システムはサークルのオリジナルで、概ね問題なし。あるとすれば、Recall(読み返し機能)がちょっと使いづらかったかな。特筆すべきは、画面効果や演出。主人公のふらふらさまよう視点はともかく、空中に浮いている死神子などは止め絵では感じられない雰囲気が出ている。おそらくイベントシーンでも拡大縮小を使い、演出していくのではと考えられる。そうしてイベントシーンの少なさを感じさせないように、とか思うのはうがちすぎかもしれませんが。

 シナリオの方は、どうなんでしょう。体験版からは、「逃れえぬ死とその意義」とかがテーマなのかなと伺えます。きっと「助けようと頑張るが助けられず、絶叫する主人公」とかそんな姿が見られそうな気がします。人間の見届け人のひとり目は、死神子か巫女さんじゃないかとか。ささやかながら妄想する余地はいっぱいありそうです。プレイ時間は、一時間未満かな。
 テキストの方は、あまり気にせずすらすらと読み進められます。文字がでかいとか3ラインしか表示されないとかはありますが、その辺はあまり問題ないと思います。むしろ、過不足なく3ラインできっちり抑えているところが作り慣れているような感じです。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクター関連の原画は問題ありません。レベルは高い方だと思います。が、体験版ラストに登場する入院仲間の女の子は、誰が見ても変です。頭+首+襟+身体って感じで、ろくろっ首予備軍に入れそうです。塗りの方は問題なし。背景はCGで、すごく良く描かれています。これに文句付ける人はあまりいないのではないでしょうか。といいつつ、屋上の床はちょっと変な気もします。
▼サウンド・SE
 サウンドは上々。こちらもあまり文句付けるところがありません。OPムービーにはヴォーカル付きです。序盤は曲と歌詞とがバラバラ、後半に両者がシンクロするようまとめた曲っぽいのですが、序盤のちぐはぐさがしっくり来ずに個人的にはダメな印象。ムービーの内容はゲームの雰囲気を伝えるようにしつつ新海節バリバリ。画面の切り替えなどがちょこっとスムーズではなく、オリジナルに比べれば当然劣ってます。背景、特に空の描き方が似ているので新海っぽい雰囲気が出てるのかもしれません。SEはいろんなところで使われてます。
▼総評
 さすがに実績があるだけのことはあり、全体的にレベルの高い体験版です。
 ですが、作品の核となるシナリオに関しては未知数です。体験版からその先への引きというものが感じられなかったのも残念。今後のダイジェストムービーぐらいあってもよかったのでは、と思います。このまま人の死をネタにして死神子や巫女さんと襟首掴んで怒鳴りあい、萌えキャラとド突き漫才しながら泣きやら鬱やらの話だったらあまり喜んで遊びたい気にはならないなぁというのが正直なところ。せめて一回は主人公に臨死体験ぐらいさせてもらいたいものです(笑)。
 買いかどうかは、もうちょっとシナリオの先が見えてからの判断になりそうです。それ以外の部分については、あまり文句付けるところがありませんから。

 ……さて、一年ほど積んである『星合の空』でもやってみましょうかね。判断の材料に(笑)
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