NEMESIS A.D 無料体験版

■賽銭泥棒
■NScripter
■恋愛・怨恨シミュレーション
■全年齢
■無料配布
http://members3.jcom.home.ne.jp/nemesis-a.d/

                                 (2006.04.13)
▼あらすじ
桜舞う春の季節。
友人は恋愛シミュレーションゲームのようだ、と言った。俺が主人公で、幼なじみがヒロイン。ゲームのように日々を重ね、幼なじみと恋を育んで行ければよかったのにと、思う。でも、このゲームも、とうの昔に終わり。なぜなら、幼なじみが人生のエンディングを迎えてしまったからだ。

あれから夏が終わり、秋が訪れてもまだ、俺は動くことができない。これがゲームだったら、あのエンディングはなかったことにできるはず。だが、そんなことができるよしもなく、ただ無為に時は流れていく。もう、自分ひとりでは動くことすらできない……。
▼概要・システム
 最愛の幼なじみを喪って数ヶ月、未だ立ち直れない主人公が学園で織りなす愛と恨み節の恋愛シミュレーション。
 使用しているシステムはNScripter。基本的な部分は実装されているが、メッセージスピードの変更は機能していない。セーブ/ロードは可能。
 ゲームのシステムは、ジャンルでこそ「恋愛・怨恨シミュレーション」となっているが、通常のビジュアルノベルと同様です。一般的にいう「恋愛シミュレーション」のように成長させるような要素はないようなので、ノベルゲームと認識して構わないと思う。
▼シナリオ・テキスト
 プレイ時間は約10分ほどと、あまりボリュームがない。シナリオの内容は、主人公の現状とヒロインがどのようなキャラクターなのかの紹介程度。登場人物がどのようなキャラクターなのかは分かるが、ただそれだけでという感じしかしない。また、プレイできる範囲が終わった瞬間に何のエクスキューズもなくゲームが落ちるのもあまり褒められた仕様ではない、というか印象がひどく悪い。なお、ゲーム中に選択肢はありません。

 テキストは取り立てて見るところはない。全体的に「…」が多用されているため単調、というか意味もなく「…」を使いすぎているような感じがする。また、「…」のお陰で段が変わることが結構あり、読みづらさを助長しているのではないかと思う。なお、実際に使われているのは「…(三点リーダー)」ではなく「・・・(ナカグロ3連打)」。文字を表示するという演出以外でナカグロ3連打を選択する理由があまり見つからないのだが、この辺りは好みの差で考えて良いのかどうか、判断を下しかねるところです。それ以外に気になったのは、キャラクターのセリフの前にキャラクターの名前が入ること(●●●「○××△〜」といった感じ)。ビジュアルノベルのフォーマットでいくと非常に見苦しいので取る、または採用するゲームシステムを考え直した方がいいのではないかと思う。
▼イラスト・グラフィック
キャラクターは特に問題はないと思う。劇画とまではいかないけど、ちょっとリアル指向な感じ。塗りはCGというより、コピックなどで塗ったような感じを受けるタイプ。キャラクターとして登場するのは、ヒロインの2人。それぞれ数枚ずつの立ちグラフィックが用意されている。ここまでは普通ですが、ちょっと良いなと思ったのは目パチが入っていること。立ちグラフィックの多いゲームは珍しくないけど、そのすべてに目パチが入っているのはそうあるものじゃない。一見はしてみる価値はあるかも。
 背景は、実写の写真をそのまま使用しています。それ自体は悪くないが、背景がハッキリしすぎているため、遊んでいながら素に戻る(悪い言い方をすれば白ける)ことがある。キャライラストとの差も出てしまうので、個人的には少しでもエフェクトを欠けたほうがいいのではないかと思う。また、家から学校へ行く時に背景が何度か切り替わるが、同じ場所が出てしまうのはあまり格好良くない。左右反転でも何でもいいから、別にしてくれた方が「移動している」感がでると思う(背景CGの枚数との兼ね合いもあるんでしょうけど)。
▼サウンド・SE
 なし。サウンドもSEも、なんもなし。
▼総評
 頭にあるアイディアは追々詰め込んでいくとして、手元にある素材なんかを突っこんでみました的な印象。ストーリーと現時点でシナリオに触れた感じではそれほど真新しいものはなく、注目するところはあまりない。
 ただ、シナリオよりもシステムやジャンルなどの方が問題になってくるのではないかと思ってしまう。現体験版ではビジュアルノベル形式だが、セリフ回りがそれに合っていない。また、ジャンルでは「恋愛・怨恨シミュレーション」と唄っているが、少なくともシミュレーション的な部分はどこにもない。「ヒロインと会話によって仲良くなる点がシミュレーション」と返されるかもしれないが、それなら恋愛アドベンチャーじゃない? と返したくもなる(もっとも、厳密に分けられるラインはあるようなないような感じですけども)。さらにいうなら、主人公のキャラクターが立っているため、シミュレーションとしては感情移入できかねる、という懸念もある。システムか、テキストの書式か、ジャンル名かは分からないが、どこかしら直さないと、サークルとユーザーの間で不幸な勘違いが起きるのではないかと思う。
 シナリオはともかく、ジャンル(ゲームシステム)の判別が未だ困難なうえ、ぶつ切りな終わり方のお陰で印象があまりよろしくありません。世間に告知する、という意味ではあまり成功してないと思います。ジャンルの「シミュレーション」も主人公の言葉遊びで終わりそうな気がするし、あまり期待はできないかも。
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