+CEBO trial edition2

■ALICE PROJECT
■Macromedia FlashPlayer+オリジナルシステム
■アドベンチャー+シューティング
■全年齢
■200円
http://www.aliceproject.com/fj.html

                                 (2006.02.11)
▼概要・システム
 アドベンチャー要素を持った縦スクロールシューティングです。

  システムはアドベンチャーパートがMacromedia FlashPlayer、シューティングパートがオリジナルとなっています。動作環境はあまり高くありませんが、ウィンドウモードでのプレイはそれなりのマシンパワーを使いそうです。
 ゲームを起動すると、システムコンフィグが立ち上がります。ここでは画面モードとサイズ、色深度、Zbaffer精度、サウンドバッファとサウンドタイマ、パッド設定ができます。Flashのクオリティの項目もあり、私は変更できませんでしたが、グラフィックボードの性能によっては変更できるかもしれません。ゲームパッドの設定は1P、2Pそれぞれ変更可能です。
 タイトル画面の項目はlogin(ゲーム開始)、server(ステージを選択してゲームを開始する)、configuration(各種設定の変更)、record player(サウンド鑑賞)、+cebo graphic(グラフィック鑑賞)とlogout(ゲーム終了)の6つ。
『trial edition2』で機能しているのは、loginとlogoutの2つのみです。タイトルメニュー自体には問題はないのですが、タイトル画面にはひとつ、大きな不備があります。というのも、ゲームを起動してタイトル画面に出る文字は「push any key tostart」。つまり「何かボタンを押せば始まるよ」ということなのですが、実際にはどのボタンを押しても何も起こりません。ゲームを始めるには『「push any key to start」と表示されている文字の上にカーソルを移動させてからボタンを押さなければ始まらない』のです。最初は不具合か何かかと思ってメールしようと思ったぐらいでしたが、色々といじくっているうちに何とか理解し、プレイできる運びになりました。確かにカーソルを文字の上に持っていくとSEが鳴るため、「あ、何かあるのかな?」と今になれば思えます。ですがが、ただ画面に「push any key to start」とあった場合、カーソルを動かそうという気はあまり起きないのが普通だと思うので(特にゲームパッドならば)、少し考慮して欲しいところです。

 アドベンチャーパートはマウス、ゲームパッドのどちらでも操作できます。十字キーかマウスがカーソルの移動、左クリックか1、2ボタンでメッセージを進められます。4ボタンを押すと、アドベンチャーパートをすっ飛ばしてシューティングパートをプレイできます。アドベンチャーパートは、画面下部にメッセージウィンドウが出現するタイプで、左端の丸いウィンドウ内にしゃべっているキャラクターの顔グラフィックが入ります。
 シューティングパートは、方向キーによる8方向移動、1ボタンが通常ショット、2ボタンが特殊攻撃、3ボタンは使用せず4ボタンでゲーム終了となっています。通常ショットは一応セミオートの広角ショットですが、一定時間押し続けていると移動スピードが低下して前方直進系のレーザー攻撃となります。また、『trial edition2』だからなのか、単なる救済措置なのかは分かりませんが、キーボードの「r」で体力回復ができるようになっています。シューティングパートは敵の弾に4回当たるとゲームオーバーとなります(弾に当たった後、一定時間無敵状態となる)。また、画面レイアウトからすると、2人同時プレイが可能かもしれません。

 このゲームの特殊攻撃とは、いわるゆボムのようなものです。特殊攻撃は、初期状態では3回まで使用可能で、使用後は時間が経つごと使用回数が回復していきます。ボムといえば敵にダメージを与え、同時に敵の弾を打ち消すものが一般的ですが、『+CEBO』では「敵の弾の軌道を反転させる」効果があります(クラック)。普通に使うとただ弾を反転させるだけですが、BGMの低音、いわゆるバスドラムが鳴る瞬間に特殊攻撃を使うと、反転させた弾に攻撃判定を持たせることができ、敵にダメージを与えることができます(ジャストクラック)。音感に疎い人にとっては狙って使えないといった苦情も出そうですが、そのタイミングには自機が白く光るので、ある程度は目で見て使うことも一応できるようになっています。ただ、目で見た瞬間に使ってジャストクラックとなるのは少々難しいので、音感に自身がない人が本格的に使うとするなら、曲を覚えるかマップを覚えて固定パターンを作るかしかないでしょう。

 得点系のシステムとしては、「リングボウナス」システムがあります。これは敵を倒すと、その地点を中心にリング(輪)が形成され、そのリング同士が重なるとコンボとなり、倒した数だけ得点の倍率が上がっていくというものです。水のうえで波紋同士がぶつかったりするようなイメージですかね。リングを重ねるだけでなく、リングの中で敵を倒してもOKです。倍率は敵を一体倒すたびに+1されていき、最大x32まで上昇します。個人的には、もうちょっと上がってもいいかなと思います。

 なお、同梱されている取扱説明書には「各種攻撃の詳しい内容につきましては業務内容をご覧ください」と書かれていて、確かに特殊攻撃については説明がありますが、通常ショットについてはまったく書かれていません。やれば分かると言われればそれまでですが、上記のように書いているのなら、不備なくすべて書いておいてしかるべきだと考えるのは狭量でしょうか。
▼シナリオ・テキスト
 現実とは違う道を辿り発展を遂げた近未来の昭和で、『攻殻機動隊(どちらかというと漫画版)』のようなサイバーパンク的な世界観。そんな未来の東京で起こったテロ事件を追い鎮圧を目指す調査員、またテロを支援する構成員たちがネットワーク上で衝突する……といったストーリーです。ネットを舞台にしたウィザードたちの饗宴の物語って感じかな。
 ストーリーはアドベンチャーパートで進行し、ある程度進むとシューティングパートに切り替わります。全体的な流れは、アドベンチャー→シューティング→アドベンチャー→……といった感じでしょうか。ストーリーの序盤には、使用するキャラクターを選択するシーンがあります。選択できるのは4人で、2人は政府系調査員、2人はテロに組みする側となっています(厳密には違いますけど、大まかに分けるならそんな感じ)。それぞれのキャラクターにストーリーはあるようですが、『trial edition2』で選べるのは1人だけです。
 シューティングパートは、いわゆるネットワークストーキング(追跡)、または攻性防壁破りみたいな扱いのようです。
▼イラスト・グラフィック
 まずアドベンチャーパートから。
 キャラクターイラストについては、さほど問題はありません。すっきりあっさりといった感じです。しかし、塗りの方がベタ塗りっぽいため、特にスーツなど暗い色のものを着ているキャラクターは、メリハリがなくのっぺり見えてしまうのが残念です。おそらく、ここから影指定していくんだろうなと期待します。イベントCGはありますが、どちらかというと場面CGといった方が近い感じです。背景+人物以外は、すべて場面CGとなっています。また、Flashを使っているため、作戦指示などはアニメーションで処理されることもあります。正直、アドベンチャーパートだけ見ても、他の同人アドベンチャーとは桁違いの完成度を誇っています。特にトータルで見た場合のコンセプトデザインはピカイチではないでしょうか。
 次にシューティングパートです。
 自機はCG……というより、作成したポリゴンモデルを使用している感じです。自機が『スターフォックス(任天堂・SFC版)』にそっくりで、ちょっとデジャブを起こしました。見た目はともかく、自機のアタリ判定が把握しづらいのがちょっと難です。敵のデザインは、いかにも「敵」というものをデザインしたものではなく、幾何学的なイメージで作成されているように見受けられます。おそらく、デザイナー的に「ネットワーク上のデータ(ウィルスや防壁)」を形に起こしてみたものだと思います。敵の弾は大小ありますが、見やすくて良い感じです。
 背景はサイケデリックで少しチカチカして、ちょっと落ち着かない感じがします。ドラッグビデオとまでは言いませんが、てんかん症状を起こしそうな人はちょっと注意を促したくなる感じですね。シューティングパートの画面レイアウトは、アドベンチャーパートに比べるとちょっと落ちます。画面レイアウトは、左端の約1/4が1プレイヤー、右端約1/4が2プレイヤーのステータスで、中央の約1/2でゲームをプレイすることとなります。各プレイヤーのステータスには、使用キャラの顔イラスト、得点、現在のライフ、特殊攻撃の回数、サウンドにあわせて動くグラフィックイコライザーのような演出グラフィック、そのステージのプレイ時間が表示されています(得点だけは数字です)。顔とグラフィックイコライザーはともかく、ライフは普通にプレイしていれば「1回接触したから、あと3回」という感じで分かるのですが、特殊攻撃を確認するためにシューティング画面から目を放すことになってしまうのです。これはある程度画面を小さくしてプレイすれば回避できます(ウィンドウが小さい=画面全体を把握しやすい)が、そうすると弾を避けづらくなるというデメリットを許容しなければなりません。逆にフルスクリーンでプレイすれば弾は避けやすくなりますが、特殊攻撃の使用回数を確認するためにシューティング画面から目を放すこととなり、非常にリスクが高くなってしまいます。ゲームの難易度に関わる部分なので、どうにかならないものかと思います。
▼サウンド・SE
 アドベンチャーパートの曲は、シックでハードボイルドな映画楽曲を思わせる落ち着いた曲で良い感じです。
 シューティングパートは一転して、トランスっぽい曲となっています(音楽関連は疎いので間違っているかも)。こちらの方はゲームのシステムと連動しているので、『trial edition2』でプレイできるステージ以後も低音の効いた曲が多数収録されるものと思われます。SEは発達した電脳、ネットワーク社会という舞台からか、機械的で高音なものが多いです。シューティングパートでは発射音や破壊音などが多数使用されています。ザコっぽい敵を破壊したときの音が『ゼビウス(ナムコ)』のザカート破壊音とそっくりなので、ちょっと嬉し懐かしな気分になりました。
▼総評
 Macromedia FlashPlayerということでちょっと警戒していたのですが、なかなかどうして快適に遊べるものでした。多少の文句と言えば、メッセージスピードの変更ができないことと、文字スキップ(アドベンチャーパートそのものをを飛ばすのでなく、文字を高速で表示させるもの)がなかったことぐらいでしょうか。アドベンチャーパートに関して言えば、ほぼ文句なしのデキです。
 一方、シューティングパートですが、こちらも悪くありません。ただ、何か少し足りないような、という感じがします。リングコンボシステムはすぐに倍率が止まってしまい得点的なカタルシスは得づらい気がしますし、クラック、ジャストクラックシステムは低音を確実に捉えられない人にとってはある意味枷になるのではないかと考えています。せめて、一度もジャストクラックできなくとも、クリアできる難易度であって欲しいかな(言い忘れましたが、おそらく弾幕系に分類されるシューティングです)。どうも自分でも上手く言えなくて申し訳ないのですが、何かが欠けているような気がしています。破壊のカタルシスかなぁ。

 ストーリーが4人分必要と言うことで個々のストーリーのボリュームは気になりますが、個人的には期待してもいいソフトだと思います。ただ、ごっついシューティングマニアにはそれほど受けないかもしれません。かといってライトな層もどうだろう……という自分の中では微妙な位置づけになっています。

 それよりも個人的に懸念したいのは、デザインです。どうもスタッフの中に本職のデザイナーがいるようで、その力は本作でも遺憾なく発揮されていると感じられます。それは素晴らしいことなのですが、往々にしてデザイン優先のプロダクトはそれに固執するあまり脇が甘いところがあります。本作でいえばマニュアルの説明不足だったり(ゲームの基本的なシステムなど)、画面レイアウトだったり(タイトル画面やシューティングパートでの各要素の見づらさ)と細かなところでかいま見られます。そう感じられるのは私だけの意見かもしれませんが、ある程度突っ走って形ができあがった後は、足下も見てもらいたいなと思います。
 本当にこれは使いやすいかどうか、というこを。
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