魔法少女サカナ 代理戦争版 Ver.0.04

■サカナ・ノベル
■NScripter
■ビジュアルノベル
■18禁
■300円
http://www.linkclub.or.jp/~kuroda/sakana/

                                 (2004.12.17)
▼概要・システム
 コミカルな感じの伝奇というかファンタジーというか、微妙な位置づけになりそうなビジュアルノベル。使用しているシステムはNScripter。特に変な使い方はしておらず、素のままっぽいです。これまで頒布した体験版を遊んだプレイヤーに対するショートカット集などもあり、結構親切なところがあります。
▼シナリオ・テキスト
 シナリオは、(今のところ)ヒロイン分のルートが想定されているようです。体験版では、タイトルにもなっているメインヒロインのサカナルートの途中までを収録。半分行ってるかどうか、ってところでしょうか。他の2キャラは、そのルートにはいるとすぐにバッドエンドになるようになってます。
 テイストは、ネアカな伝奇風味のファンタジー活劇ってのが一番近いと思います。じめっと暗く背徳的な雰囲気はまったくなく、微笑ましく明るい雰囲気。それに加えて、色々なゲームやマンガやらのパロディっぽいものが多く入ってます。
そのせいもあってか、良くも悪くもニヤニヤしながらプレイできます。シナリオの流れは、1シナリオ分の途中だけではありますが、主人公に都合よくお話が進むなぁ、と感じられるタイプです。一応、その都合の良さについての説明はあるものの(それはそれで珍しいのですが)、お約束というか、予定調和のレールの上をスキップしながら歩いている感じがしてしまいます。つまらない、ってワケじゃないのですが、どうも物語を読んでいるというより、制作者=主人公が楽しめるお話を見ているような印象です。
 エロいシーンは基本的にナシ。あっても、ロリっぽいものになるんじゃないかと思います。特にサカナさんとか。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクターイラストは、サイトに行けば分かると思いますが、ぶっちゃけ上手くないです。だからといって酷くて酷くて見られないものではありません。これぐらいなら、まだまだ許容範囲です。塗りの方も、お世辞にもレベルが高いとはいえません。背景は基本的に写真にエフェクトをかけたものです。だいぶエフェクトがキッツいなあと思えるところもあります。イベントCGの背景はCGですけど。特筆すべきところは、スクロールの使用とカットインCGってところでしょうか。これらは演出にも絡む部分ですが、マンガのコマのようなものを連続して使用し、勢いあるシーンを演出したり、背景をスクロールさせて「あっちのほう」(通常の視界外だけど、認識できる場所)に人が居ることを示すシーンなどに使われてます。
▼サウンド・SE
 基本的にはフリー素材のものを使用しているとのこと。一部、そうではないものがあるらしいのですが、突出してレベルが高い曲がある感じではないので、あまり気にしなくてよいです。ただ、選曲はともかくとして、日常的なシーンで同じ曲をかなり長く使っている(もしくは使い回している?)ので、「あれー、またこの曲なの?」と、ちょっと飽きてしまう場面もあります。SEは入ってます。音はちょっと軽い感じかな。インパクトというか、効果という意味では「あるけど薄い」感じ。サウンドとのバランス調整をしたほうがいいかもしれません。また、少々バグのようなものがある(ロードしたら、突然鐘の音とか)のですが、これはセーブした場所によるのかもしれません。あと、サークルロゴがしゃべるので「おおっ!」と思うところもありますが、2回目以降からはウザいだけなので、正直飛ばせるようにならんのかと嘆願しておきます。
▼総評
 誉めているんだかけなしているんだか自分でも分かりませんが、このソフトは「のーてんきB級活劇伝奇ノベル」だと思います。よって、難しいことを綺麗さっぱり忘れて、のほほんと遊んでいると結構楽しめます。重厚でディープでシリアスな正統派伝奇を期待すると、思いっきりハズしますのでご注意ください。上記のような心の準備ができていれば、それほど拒否反応は起こさずにすむと思います。ある意味、汎用性が高いというか万能というかそんな感じかも。どちらかといえば、「魔法少女」で引っかかった人が、肩すかしを食らう可能性が高いかもしれません。イラスト関係の下手さ加減も、いい感じでB級っぽさを出す手助けになってます。やっぱ、いろんな意味でバランスがとれてるかも。

 ただ、個人的にはシナリオはどうかなと思う。中身や展開が悪いとかじゃなく、やっぱり都合よくお話が回りすぎるのは、見ていてそれほど楽しくはないと感じています。現時点では選択肢がほとんどないので、余計にそう感じるのかもしれません。あとはパロディ的なセリフ回しの部分かな。実際にどれぐらいあったかうろ覚えになっているのですが、この辺で拒否反応が起きる人がいるかもしれません。このあたりが、イケる人とイケない人との境目だと思います。

 まぁ、肩肘張らずに遊べるものをというのなら、これをチョイスしてもいいのかなと。ただ、実のところこのソフトも初出から1年経ったりしてます。この感じで行くと、完成しないソフト群の中堅〜古参になりつつあり、早くても来年末ぐらいにならないと完成しないんじゃないかなぁとも思ってしまってます。





 んで、メインのネタとして使われているトータチス。バッドエンドの一つで実際に落下しちゃってますが、本当に落ちたらあの程度ではすまないだろうとツッコミ。 トータチスは、今年の9月に地球に接近した、楕円軌道を持つ小惑星です。直径が4kmと2.5kmの2つの岩がくっついたような形をしています(参照)。で、実際に落ちてきた時にどれぐらいのダメージかといえば、ネットで検索しても見つかりませんでした。残念。隕石の侵入角度や落下速度によって被害の大小は違うのですが、これが一番近いサンプルかもということでご参照あれ。これを鵜呑みにして考えると(ぉぃ)、ゲームの舞台となる川崎市にトータチスが落ちたとして、直径が約90kmってぇことは、半径は約45km(マップ参照)。その園内がストライクによるクレーターとなるのなら、東京都庁なんて影も形も残りませんぜ、旦那。まぁ、関東周辺がどうというより、東アジア自体が壊滅するんじゃなかろうか考えた方が早そうです。ちなみにどんな角度で落下してきても、クレーターは綺麗に丸くなるんだそうな。物理ってムズカシー!


 ……まぁ、今年の夏コミには完成させる予定だったんだろうなぁ。たぶん。
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