装甲戦記シェルガンナー体験版2

■スタジオMAGI
■吉里吉里2/KAG3
■アドベンチャー
■18禁
http://www.senyou.net/~magi/

                                 (2004.01.20)
▼あらすじ
今日も人を殺した。明日もまた殺すのだろう。日付なんざあまり意味はないが、たぶん、毎日それを繰り返していた。定時だろうが敵襲のサイレンだろうが、目が覚めたら殺しにいくだけだ。戦争という閉じた輪の中で、それは繰り返されていた。
死ぬ。殺す。食べる。吐く。眠る。起きる。飲む。壊す。
死と狂気が渦巻く大地で、俺は敵を殺して殺して殺して殺して、いつしか共和国最強たる「ナンバーズ」第九位の座を受けるまでになっていた。命令書の一枚で戦場を渡り歩き、落としたギアは千と300ちょい。ひとり殺せば犯罪者、100人殺せば英雄とは、昔の人もよく言ったもんだ。そしてまた、一枚の命令書が俺を戦場へ誘う。戦線の中でも最激戦区といわれるラ・デル要塞。

約2ヶ月後、俺は新たな戦場に立っていた。味方には勝利と明日を、敵には絶望と終焉を。訪れることのない安息と癒されることのない古傷を胸に、終わりなき輪の中でレバーを握り、ペダルを踏み、咆哮する――――――――。
▼概要・システム
 一目瞭然で説明するのも間抜けな気がしますが、ギア(人型ロボット)のエースパイロットである主人公が戦場でバリバリ活躍している間に裏で政治的策謀が暗躍してる戦記物アドベンチャー。

 システムは吉里吉里2を使用。画面下部のメッセージウィンドウは、ほぼ主人公専用で、他のキャラクターのセリフは立ちグラフィックの横に小さな専用ウィンドウに表示されます。他のシステムは素のままですが、セーブ/ロードがスクリーンショット保存機能付きになっています。デバッグ機能が使用可能なところは愛嬌というところでしょうか。スクリプトや素材などが丸見えの状態だったりします。また冬コミで購入した際には小冊子が付いてきました。攻略できそうな3人の女の子のエッチな線画ほか、設定資料などが載っています。
▼シナリオ・テキスト
 お話の方は、上の説明でなんとなく分かってもらえると思う。ちゃんと説明すると、ファンタジー戦記ということらしい。おまけ本を読んでいると、バッチリSFも混じってます。というよりもSFがベースで名称にファンタジーを使用しているという方が近いかも。最前線へ送られたエースパイロットたる主人公が、ドンパチやりながらライバルとケンカしたり仲直りしたり、トラウマを克服しつつ部下やその他の女の子と仲良くなったりして、ラストで何かをぶっ壊す(殺す)といった話しになるのではないでしょうか。分岐によって攻略できる女の子が変化しそうなのは当然として、戦況が大きく変わったりすると面白いんですが、さすがにそこまではいかない気がします。どんなルートを通っても最後は同じ(歴史はひとつ)収束型のシナリオになるのではと考えています。ストーリーは章立てになっていて、全部で何章になるのかはわかりませんが体験版に収録されているのは2章までです。プレイ範囲内には戦闘シーンは1ヶ所しかなく、ちょっと物足りない感じではありました。戦記ものと謳っているのに、戦闘が少ないのは片手落ちのような気がします。まぁ、いくら激戦区とはいえ、毎日戦闘ってのも確かに変かもしれないとは思いますけど。

 テキストはまぁ、たぶん普通に読める。上司の前では反骨心むき出し、一人だと鬱、部下の前だとクールかいたずら少年、戦闘だとクールっぽく見えて半ギレ状態といろいろがんばってる主人公ですが、読んでいてもあまり面白く感じられない。戦闘シーンでも主人公が張り切ってるんですが、イマイチ盛り上がらない。萌えなんざどうでもいいから、もっと燃えさせてほしいところです。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクター等の原画は問題ないでしょう。塗りの方も、ちょっと物足りない気はしますが、目くじら立てて文句つけるほどのものではありません。表情の変化はあまりないかな。ギア(ロボット)は3Dモデリング。デザインの方は、尖鋭さと無骨さが微妙な割合で感じで混ざっており、あまりカッコイイわけではなく、さりとて渋さもないどっちつかず。でも、嘘のないアクションポーズをとらせるなら、こうなってしまうのかとも思ったりしてます。イベントシーンは、キャラクター系がCG、ギアの戦闘シーンなどはモデリング。そのギアの戦闘シーンですが、だいぶ物足りなさを感じます。パンチやキックや銃撃、やられシーンなどはあるのですが、一枚のイベントグラフィックで2体以上が戦闘している、たとえばクロスレンジで殴り合いor相手の腹をぶち抜くなどといったシーンがほとんどないため、イマイチ爽快感というかカタルシスが感じられません。たとえそういうシーンがあったとしても、エフェクトとモデリングのテカりのせいで、何がどうなってるのやら非常にわかりにくいのです。『デモンベイン』で感じた「戦闘してるんだろうが、暗くてよく分からない」というのに近いかな。可能ならば、もうちょっと状況が把握できるような、そしてパッと見で一発理解&燃えられるようなものにしてもらいたいところです。背景は屋内がCGで、戦闘など屋外はモデリングされたものです。
▼サウンド・SE
 音楽周りも普通な感じ。タイトル画面の曲は、いかにもメカ系のゲームにかかりそうな曲。その他はまぁ、可もなく不可もなくというところ。だが、燃える曲がないのは残念。SEはかなり多めに入ってます。ガキーンと金属同士がぶつかるようなものから、銃系の発射音、爆発音など戦闘に使われるものが多いです。ちょっと迫力不足な気もしますが、許容範囲内でしょう。
▼総評
 ゲームの出来はともかくとして、CD上で実行するといきなりエラーを吐くのは言語道断といえます。HPのトップでサポートしていますが、それをしなければならないほどサポートが殺到したのではないでしょうか。少なくともReadme.txtがあれば回避、または言い訳が立ったはず。こういった細かいけれども最低限必要と思われることは今後、忘れないでもらいたいです。またタイトル画面からロードを選ぶと吉里吉里のデフォルト(たぶん)のロード画面になり、そこからプレイを再開して右クリックを押すとエラーが出てフリーズするのもなんだかなぁ、という感じです。イベント直前であたふたしている様子は想像に難くないですけど、一通り実験してから焼くか、焼いてから実験してほしいですね。

 と、文句のひとつふたつを終えたところで、ゲームの方の総評です。
出来は、どちらかといえば良い方に入るのだけど、現時点で言えば微妙のハンコを押さざるを得ない。大きな理由は2つ。
 ひとつは主人公の性格とシナリオの性格。個人的なイメージで悪いのですが、ロボットで戦記物といえば、バリバリ活躍して敵国を倒して救国のヒーローになるか、派手さはないけど渋くて地味に強くて必ず任務を達成する古強者の物語のどちらかだよなぁと漠然と思ってます。で、『シェルガンナー』の主人公はといえば、どちらかといえば前者なのですが、後者の要素も入っているように思えます。シナリオもそんな感じが漂ってまして、ひどく中途半端な感じがするのです。
 そして2つめは圧倒的な燃え要素のなさ。戦闘はしてるし、主人公もブチギレながら頑張ってはいるんですが、それが全然伝わってこない。せめてというかなんというか、コクピット内のイベント画面を描いて「主人公がこんな感じで戦ってる」というのを見せてプレイヤーに刷り込ませるとか、戦場に出たら画面を「コクピット内から見た感じ(ゲーム画面をメインモニタとしてレーダーやら戦術マップ、フュエルゲージ、コールサインランプ、通信モニタなどを表示させる。戦闘に入った場合、もちろん敵を表示させる)」にしたりといったように、プレイヤーを引き込ませるような何らかのアイディアを考えた方がいいと思う。もっとも、「主人公がエースパイロットでロボットに乗って戦う戦記物ならば燃え要素がないとだめだろう」というのは、私の偏見かもしれませんけどね。
 あとはボリュームでしょうか。1章が30分強ぐらいだった気がするので、トータルで10章ぐらいはないと物足りないかも。章によってプレイ時間が違う可能性はあります。

 見た目の出来はそれほど悪くないですし、ロボットものは好きだから大いに期待したいのですが、現時点でトータル的な感想は「もうちょっとがんばってください」と言うところです。現在、HPで体験版Ver1.1、今月中にはVer1.5がDLできるとのことですので、興味のある方は落としてみてはどうでしょうか。Ver2.0は通販もするみたいですから、ショップにならぶこともあるんじゃないでしょうか。
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