紡ぐ、底の調べ 体験版Ver.2.0

■Black Twin Tale
■NScripter
■アドベンチャー
■全年齢
■2,300円ほどだったと思う
http://www5f.biglobe.ne.jp/~BTT_MK/

                             (2004.12.23)
▼概要・システム
 なんかよく分からないうちにヤバい方面へ足を突っ込むことになってしまう高校生が主人公の伝奇アドベンチャー。システムはNscripter。機能こそデフォルトに近いのですが、色々とカスタマイズしているためか非常にもっさりとしていて使いにくい。イメージ的なコンセプトデザイン最優先で使い勝手は二の次、といった感じです。ゲーム中では右クリックでシステムメニューを呼び出すことができます。ゲームのレイアウトは、描写や独白などはノベルのような感じで画面中央〜下にかけて表示され、会話は画面下部に表示されるメッセージウィンドウ(キャラクターの名前用のウィンドウも表示されます)に文字が現れるようになっています。ノベル表示、会話用メッセージウィンドウには共用デザインの簡易メニューがありますが、これについてはどこにも説明がありません。添付のテキストに使い方や説明などを書く余地があったのではないかと思います。
▼シナリオ・テキスト
 シナリオは主人公巻き込まれ型で、本人は知らないけどよく分からない力を持っていそうという、ありがちなタイプだと思われます。伝奇具合はといえば、サイトの説明やプレイした感じからの予想になりますが、主人公と周辺の方々は純和風系。襲ってくる方々は、和洋折衷のような感じがします。通っている学校が多田羅学園とかいってるし、タイトルの「底」って黄泉の国っぽいし、全体的に和風の伝奇だと思っていていいと思います。もしかしたら、これに転生とかが入ってくるかもしれません。
 プレイできる範囲は、2章の途中まで。トータルで何章まであるかは不明。遊んだ感じでは、ひとつの章にはそれほどボリュームがなさそうです。1章は顔見せと一応の事件発生。2章でその事件について考え、謎を追い始めようか……といったところで終わります。一応、引きのある終わり方ではあるのですが、いまいちこう、ぐっときません。友人たちとの日常会話とか見ていても、どうも面白くないのです。その理由は、「俺たぶん、この主人公嫌いだ」という極めて個人的なものだと思われます。まぁ、肌に合わないのはしょうがないということでご勘弁下さい。なお、作中に数回ほど選択肢があるのですが、あってもなくてもいいレベルです。1章の選択肢により2章に変化があってもおかしくない選択肢もあるのですが、綺麗にスルーされていたりして、意味が感じられない点なども違和感があったりします。

 テキストは、普通よりちょっと下がる感じです。描写や説明とかは物足りないですし、キャラクターたちの会話を見ていてもなんか変な感じがします。あと、全体的に格好いい文字や言葉で、という部分も見られ、それがテキストの微妙さに拍車をかけている感じがします。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクターイラストについてはちょっと荒い気もしますが、全く問題ないレベルです。立ちキャラの差分は2〜3つ、表情差分は立ちキャラ1つにつき1〜2個。表情を差分で用意するよりも、立ちキャラごと切り替えちゃえ的な感じ。塗りの方は、見づらいというか、あまり映えていない印象です。主に服装に関してなのですが、使用している色が濃すぎるためかディティールのほとんどが死んでしまっているような気がします。もうちょっと画面で映える(イラストとして見やすくなる)ように色の調整をしてもいいのではないかと思います。イベントCGは、立ちキャライラストよりちょっとランクが下がるかな。立ちキャラに比べてイベントCGではキャラクターは大きく表示されるため、荒い部分が余計に目立っているからだと思います。背景はCG。こちらのレベルはかなり高い。お約束ですが、イベントCGの背景のレベルは高くないです。はい。
▼サウンド・SE
 サウンド周りはそれなりにいい感じ。これは! という曲はありませんが、BGMとしては問題ないと思います。ちょっと音が軽い感じがするのは、機材や録音状態の関係なのかな? SEもちゃんと入っていますが、こちらは気が抜けたような音で迫力不足。また、サウンドとのバランスがとれておらず、システムでどちらも最大にしていると、SEの方が大きく聞こえます。少しバランス調整をした方がいいかもしれません。そして最大? のセールスポイントかもしれないボイスですが、セミフルボイスといったところでしょうか。主人公の周辺のメインキャラはフルボイスです(若干、抜けているところもあります)が、母親や学食のおばちゃんなどモブキャラには声がありません。キャストはおそらく、同人声優という方々のようです。そんなに上手いとは思いませんが、「(ほぼ)フルボイスですげぇ!」というインパクトはありますです。また、エンディングにはヴォーカルが1曲。声に関する部分では、かなり豪勢な作りだと思います。
▼総評
 個人的には無茶無茶微妙。主人公が合わないっぽいというのは別にして、基本コンセプトとプレイアビリティの悪さが最大の要因だと思っています。このゲームの基本コンセプトは、間違っているかもしれませんが筆者なりに感じたのは、「テキストもデザインもイメージ優先でカッコイイものを作ろうぜ!」ということ。この考え方自体は全然悪くないのですが、他のものを犠牲にしてまで突き進むほど価値があるのかな、と思っています。ここでいう「他のもの」とは、システム周りのプレイアビリティやテキストの読みやすさ、テンポの良さ、分かりやすさなどです。いいがかり的な事を追加するなら、サークルサイトの見にくさもその範疇に入っています(あと重い)。タイトル画面を見ても、ぱっと見で何がどうなっているか分からなかったり、ウィンドウメニューの説明不足だったりと、「自分たちは分かっている」が、それをプレイヤーに知らせようとする部分が決定的に欠けているような感じです。 あと、個人的には金文体使いまくるのはちょっと敬遠したい。使いどころを間違えなければ格好良さは出せると思いますが、乱用されるとただ文字が読みづらいだけなので、勘弁してほしいところです。システムメニューに金文体使われてもねぇ……。

 冬コミは落選してしまったようなので新しいVer、もしくは完成版は先になりそうですが、あまり追いかけてまで遊びたいソフトじゃないです。ストーリーが良いとかダメとかじゃなく、ストレスを貯めてまで遊びたいゲームじゃないな、っということですね。サークルのサイトでは体験版が落とせるので、試してみてもいいかもしれません。
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