白路 蒼天月下

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■ビジュアルノベル
■18禁
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                                 (2003.11.05)
▼あらすじ
夏と秋とが混ざりあい、時の移りゆくさまが感じられる季節。不思議な噂と奇妙な事件が街を包み込んでいることは、ほとんどの人は知るよしもなかった。当然、僕もそんなことは知らず、友人たちとごく普通の学生生活を送っていた。ただひとつ違っていたことは、ここ最近、頭痛に悩まされていたことだけだ。
突然襲いかかってくるそれは、深夜のテレビのようにノイズで頭を埋め尽くしてしまう。語りかけるように僕を浸食し、埋め尽くすように。知らない世界へ誘うかのように。いつしかノイズは、僕にも理解できる言葉で語りかけてくるようになる。知っていること。知らないこと。知ってる世界。知らない世界。知らないことが幸せなこと。

やがて僕は、自分自身を知ることとなる――――。
▼概要・システム
 そろそろ発表からかなり時間が経ってきた感のある伝奇ビジュアルノベル。若干だが電波っぽいところがあるかも。機能的には可もなく不可もなく。今後、吉里吉里2に載せ替えるようですが、プレイ的にはそれほど大きな問題は起きないと思われます。せいぜい、完成が遠のくぐらいかと(笑)。プレイ時間は以外と長く、『蒼天月下』で約10時間ほど。もうちょっとセーブ数が多いとうれしいかな。
▼シナリオ・テキスト
 『蒼天月下』でプレイ可能な範囲は、攻略可能な3キャラの前半から中盤辺りまで。最も長かった香久夜が中盤まで、五十鈴とサラが中盤手前ぐらいといった感じではないでしょうか。各シナリオの最後にはエンディングタイトルのようなものが登場します。バッドエンドなのかそうでないのか非常にわかりずらいので、シナリオに沿ったエンド(シナリオ上でいうなら中断にあたるのでしょう)に行き着いたのならば「to be continue」とかでもよかったような気がします。クリア後にはおまけシナリオが登場するなど、なかなか豪勢です。
 で、そのシナリオの中身はといえば、微妙です。その理由は大きく分けてふたつ。 ひとつ目は「どこかで見たことあるようなシナリオ」と感じられてしまう点。中盤までとはいえ、香久弥シナリオは「月姫・秋葉ルート」、サラルートは「月姫・アルクェイドルート」を思い起こしてしまいます。全部が全部同じというわけではなく、オリジナルの部分もある。だが、シナリオの流れや行動が似通っているためにそう感じられてしまうのです。この後に繋がるシナリオがどうなるかはわからないが、少なくとも評価という点においてはプラスに働かないかもしれない。
 もうひとつ微妙と感じる理由は、全体的に盛り上がりに欠けているため。主人公が敵? に襲われたりと小さな盛り上がりは数度あるのだが、たいした描写もなくドキドキワクワクしないのです。香久弥シナリオのラスト、中盤の盛り上がりにあたる部分にもバトルはあるが、あっさり終わってしまうために肩すかしっぽい印象が残ってしまう。もうちょっと疾く! 熱く! かっこよく! ここ越えたらエンディングだ! と錯覚するぐらいの盛り上がりが欲しいです。
 エロエロな部分も一応ありますが、あっさり入れてすぐ終わり。あってもなくても、それほど影響ないぐらい。この辺りは期待しない方がよいかもしれません。

 テキストについては、特に問題ないと思います。ただ、誤入力などによる誤字がかなり多く見られるので、この辺は徹底的に調査して直さないと格好悪いです。また、「お嬢様」「御嬢様」、「ご飯」「御飯」といった語句の統一が計られていない(変換ミスの可能性が高いのですが)ので、そちらのチェックもした方がよいかと。
▼イラスト・グラフィック
 キャラクター原画や塗りは問題のないレベルだと思いますが、少女漫画っぽい雰囲気があり手足や肩がちょこっと細いと感じるかもしれません。現時点で登場しているのは女性が圧倒的に多いのですが、どのキャラとえちーシーンが見られるかは不明。イベントCGは、時間的ボリュームから見るとかなり数が少な目です。立ちは悪くないのですが、イベントCGだと少々レベルが落ちる感じ。また、顔がアップになるシーンが多かったりとワンパターンな気がしてしまいます。背景は実写で、朝昼晩のマスク以外のエフェクトは掛かっていない模様。もしかしたら、分かる人にはどこがロケ地か分かるのではないでしょうか。
▼サウンド・SE
 曲周りは悪くないのですが、何かひとつ物足りない感じ。SEは学校の鐘などで使用されています。携帯電話にも音付けた方がいいような気もしますが、世間的にはどうなんでしょうね。
▼総評
 前回遊んだ体験版は初代のものなので、ずいぶんひさしぶりです。それに比べるとだいぶ変わったというか、あの頃のままというか、なんとも不思議な気分です。
 で、本題の評価といいますと、悪くはないんだけど微妙な感じです。シナリオ部分の評価が、そのまま体験版全体の評価になっているといってもいいぐらいです。序盤から中盤にかけては、それこそ『月姫』の序盤〜中盤の流れを踏襲しているようですらあります。後半のシナリオを遊ばずになんやかんや言うのは問題があるかもしれませんが、まだ見たことのない、どこかで遊んだと感じさせないないものを期待したいです。それ以外の部分は、若干弱いところがあるものの、労力を惜しまずに改善していけば十分イケると思います。ケアレスミス多いですよ。結構。たくさん。ものすごく。
 エロ目的に買うとしたら外しそう。伝奇好きなら大外しということはないだろうが、好き故にそこはかとない既視感に襲われることは覚悟しておいた方がいいかもしれません。


 そーいえば、キャラクターの苗字が中国地方に由来するものに偏っているようないないような、そんな気のせいがしたりしてます。
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